写真1●Concur Invoiceの画面。PDFデータ化した請求書からデータを自動入力する
写真1●Concur Invoiceの画面。PDFデータ化した請求書からデータを自動入力する
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写真2●日本向け機能
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写真3●Concur Invoiceが解決する課題
写真3●Concur Invoiceが解決する課題
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写真4●コンカーの代表とパートナー各社。右から3人目が米コンカーのバイス・プレジデント エイ・ジー・ランバート氏、4人目がコンカー日本法人の三村真宗代表取締役社長
写真4●コンカーの代表とパートナー各社。右から3人目が米コンカーのバイス・プレジデント エイ・ジー・ランバート氏、4人目がコンカー日本法人の三村真宗代表取締役社長
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 コンカーは2016年5月10日、請求書管理向けクラウドサービス「Concur Invoice」の国内提供を開始した。請求書情報の入力や申請、承認などのほか、電子化した請求書からOCR(光学文字認識)によってデータを自動入力する機能を搭載(写真1)。軽減税率や月次請求への対応など、日本独自の機能も盛り込んだ。同時に、Concur Invoiceへのデータ入力作業を請け負うサービスを開始した。

 Concur Invoiceは、取引先から受け取った請求書情報をクラウド上に入力し、管理できるサービス。担当者からの申請を部門の管理職が承認する、経理部門が承認状況を管理する、蓄積したデータを分析して取引の状況を可視化するなどの機能を持つ。

 コンカーにとっては、交通費などの経費精算向けサービス「Concur Expense」に次ぐ二つ目の国内向けサービス。米国などでは以前から提供していたが、「日本では、顧客のニーズを理解し、製品とのギャップを解消した上でローンチすると決めていた」(米コンカー 製品マネジメント バイス・プレジデント エイ・ジー・ランバート氏)。2年ほどかけて市場調査を実施し、日本の商習慣や法律に合わせた機能を追加したうえで正式投入した。具体的には、1件の請求書に複数の取引がまとめられる月次請求や、会食などへの同席者の入力、消費税の軽減税率などに対応した機能を開発した(写真2)。

 OCR機能の日本語対応も強化した。PDFデータ化した請求書をアップロードすれば、項目や金額を読み取って自動入力する。現状では完璧な読み取りができるわけではないため、修正が必要な箇所は人手で編集する。

 データ入力自体を、同社に有償で委託することも可能。フィリピンのマニラに開設した「Concur BPOセンター」に、日本語が分かる現地スタッフを配置。企業が請求書のPDFデータを送付すれば、現地スタッフが手作業でデータを入力する。

 コンカー日本法人の三村真宗代表取締役社長は、「Concur Invoiceで、請求書処理業務が抱える生産性、ガバナンス、可視化に関する課題が解決できる」とする(写真3)。データ入力の効率化により生産性が向上するほか、分析機能を活用することで不適切な経費処理を見つけたり、経費削減に役立てたりできる。発表会ではConcur Invoiceのユーザーとして、米JPモルガン・チェースのエグゼクティブディレクター、クリス・ベッセイ氏が登壇。グローバルでConcur Invoiceを導入し、既に年間2億ドルのコスト削減に成功していると話した。

 コンカーは今後、国内パートナーと連携し、請求書の電子化を推進する(写真4)。既に、企業間取引の電子化を手掛けるインフォマートや、紙の請求書や領収書を人手でデータ化するサービスを提供するクラビス、節税支援サービスを提供するタックスバック・インターナショナルなどと協業。スキャナーや複合機メーカーとの協業なども進めているという。

 2016年内は、従業員1000人以上の大手企業を中心に売り込む。2017年に中堅・中小企業向けのバージョンも投入予定で、こうした企業向けの営業も強化する。2020年までに、360社への導入を計画する。