写真●塚野英博 取締役 執行役員専務CFO
写真●塚野英博 取締役 執行役員専務CFO
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 富士通は2016年4月28日、2016年3月期の連結決算を発表した。売上高は2015年3月期比0.3%減の4兆7392億円、営業利益は同32.5%減の1206億円で減収減益となった。国内のSI事業は過去最高で同6.2%増の1兆109億円となった。一方、2015年度に組織再編や人員配置転換のために投じた「ビジネスモデル変革費用」415億円が響き、主要なセグメント全てで減益となった。

 会見に臨んだ塚野英博 取締役 執行役員専務CFO(最高財務責任者)は「国内のSI事業は堅調で、2020年の東京五輪までは右肩上がりに推移すると想定する」と話した(写真)。2016年3月期通期では、金融分野のメガバンク案件や公共分野のマイナンバー案件などがけん引した。

 会見では、2017年3月期通期で新たに450億円を拠点の統廃合や組織再編、人員の配置転換などの「ビジネスモデル変革費用」に充てることを明らかにした。富士通は2016年3月期通期で合計415億円をビジネスモデル変革費用として投じている。

 塚野CFOは、新たに投じる450億円について詳細は明らかにしなかったが下期に重点的に投じる見通しだ。「前年度から取り組んでいるビジネスモデル変革の仕上げとなる投資だ」(塚野CFO)。ビジネスモデル変革費用の効果は「2~3年以内に回収できる見込み」とする。

 2016年3月期の業績をセグメント別に見ると、SIが中心の「テクノロジーソリューション」セグメントは売上高が2015年3月期比0.6%減の3兆2833億円、営業利益は同16.3%減の1862億円で減収減益となった。このセグメントではSIが好調だった一方で、ネットワーク関連機器を中心に減収した。大手キャリアによる携帯電話基地局や光伝送システムなどの投資減が響いた。

 PCや携帯の「ユビキタスソリューション」セグメントは減収減益となった。売上高は2015年3月期比2.1%減の1兆409億円、営業利益は同164億円減で76億円の赤字に転落した。

 半導体や電子部品の「デバイスソリューション」は増収減益。売上高は2015年3月期比1.4%増の6039億円、営業利益は同17.7%減の303億円となった。

 2017年3月期通期の連結業績予想は、売上高は2016年3月期比2.9%減の4兆6000億円、営業利益は同0.5%減の1200億円とした。

 富士通は決算発表と同時に、同社の連結子会社のニフティの株式を全て取得し、完全子会社化すると発表した。これまで富士通はニフティの株式を66.59%保有していた。塚野CFOは「ニフティの保有するクラウドサービスを富士通のクラウド『K5』などのサービスに合流させたい」と話した。