総務省は2016年4月28日、「被災者の生活再建と被災地の復興に向けた通信・放送利用の施策Webガイド」を公表した。総務省が熊本地震の発生直後から整備に取り組んできた避難所などでのネットや放送の利用環境が、今後被災者の生活再建に役立てられていくことを目的とする。総務省の取り組みだけでなく、復旧や復興に役立つ民間事業者や団体の活動なども併せて紹介する。内容は順次更新していく。

 同ガイドでは、現在準備中の総務省関連施策も紹介し、「やります」宣言した。具体的には、「避難所の内外の被災者に一斉に情報を届ける伝達手段の提供」「在住外国人を情報から孤立させないための情報伝達システムの構築」「訪日観光客が被災地に安心して回帰するよう多言語災害情報提供」「被災地の復旧・復興の様子を海外に発信していくプログラム」の四つを挙げた。

 一つ目の避難所の内外の被災者に一斉に情報を届ける伝達手段の提供に向けては、「被災者のパーソナル端末に確実に届けられるよう、避難所に配付されるタブレット端末や各人が保有するスマートフォンに伝達できるWebサイトとスマートフォンアプリを用意」する。被災者が避難所内外で共通の情報をシェアできるようにする。また、NPO法人などの情報や商店などの情報も生活再建に欠かせない情報と位置付けて、行政だけでなく民間事業者も利用できる情報配信プラットフォームにする方針。

 二つ目の在住外国人を情報から孤立させないための情報伝達システムとしては、外国人住民が暮らす地方自治体、在日の大使館や領事館、外国人留学生が在籍する大学などが、それぞれの立場で安全や安心、生活復旧などの情報やメッセージを多言語で伝えられるシステムを構築し、開放する。

 三つ目の訪日観光客に向けた多言語で情報を伝える仕組みは、在住外国人向けと共通。訪日観光客へは、スマートフォンアプリに対して情報を提供する。フリーWi-Fiを一度の手続きでどこででも利用できるようにするフリーWi-Fiアプリと一体化し、訪日観光客がダウンロードするインセンティブを用意している。観光地の地方自治体や自国民を守りたい大使館および領事館が非常時の情報伝達手段に利用できるように、入力・配信を地方自治体や大使館などに開放する。

 このアプリでは、気象庁が発する地震や大雨の情報を多言語に翻訳して伝える観光庁アプリと連携し、地方自治体や大使館などの入力がなくてもアラートとして機能させる方針。

 四つ目の被災地の復旧・復興の様子の海外発信に向けては、例えば九州で暮らす外国人留学生などの協力を得て、その目線で写真と自国語メッセージを海外発信していくプログラムを応援する。九州各地の観光へのダメージを減らし、風評を打ち消すねらい。

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