音声認識技術を開発するアドバンスト・メディアは2016年4月27日、音声認識技術を組み込んだ建築仕上げ検査ソリューション「AmiVoiceスーパーインスペクター(建築仕上げ検査用)」の提供を開始した。既に、名古屋市に本社を置く建設事業者の矢作建設工業が導入済み(写真1)。同社が愛知県内で建設中のマンションで利用したところ、1戸当たりの検査作業時間が以前の50分から25分に短縮できた。

写真1●矢作建設工業の仕上げ検査担当者が「AmiVoiceスーパーインスペクター(建築仕上げ検査用)」を使って施工状態を確認している様子。ヘッドセットのようなマイクを使って修正箇所の情報を入力している
写真1●矢作建設工業の仕上げ検査担当者が「AmiVoiceスーパーインスペクター(建築仕上げ検査用)」を使って施工状態を確認している様子。ヘッドセットのようなマイクを使って修正箇所の情報を入力している
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紙ベースの検査帳票が膨大な手間を生んでいた

 マンションの建設現場では、完成直前の仕上げ作業として建設事業者が各戸を回り、壁や床、窓枠、木枠などに傷、汚れ、不具合がないかをチェックしている。この作業を「仕上げ検査」と呼び、通常は1戸当たり50カ所から100カ所ほどの修正箇所が見つかる。見つけた修正箇所は担当する施工業者が修理し、再度、建設事業者が仕上げ検査を実施する。このため仕上げ検査は最低でも3回は繰り返し、修正箇所をゼロにしたうえで顧客に引き渡す。

 仕上げ検査では修正箇所を検査帳票に記入していくのだが、この検査帳票がいまだに紙ベースで、作業を煩雑にする原因となっていた。

 検査帳票には、左半分に部屋の間取りが印刷してある。検査担当者は修正箇所を見つけると、その場所を番号で指定して、間取り図に書き込んでいく(写真2)。さらに、書き込んだ番号に該当する修正内容と担当する施工会社を、検査帳票の右半分に記入していく。

写真2●手書きの検査帳票
写真2●手書きの検査帳票
(出所:アドバンスト・メディア)
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 検査後は、修正箇所を施工会社に手直ししてもらうための作業指示書を作成する。作業指示書は、先ほどの検査帳票をほぼそのまま流用する。施工会社は壁、床、窓枠、木枠、住器など修正箇所ごとに異なるため、まずは、施工会社の数だけ検査帳票をコピーする。次に、依頼先となる施工会社ごとに手直ししてほしい箇所の番号と内容の部分をラインマーカーで目立たせて、その施工会社に対する作業指示書としている。

 1戸当たり10社以上の施工会社がかかわっている。例えば全体で200戸の物件があるマンションになると、「1戸当たり10社」×「総物件数200戸」で合計2000枚の検査帳票をコピーし、さらにラインマーカーで手直ししてほしい内容を目立たせると言う作業を繰り返すことになる。こうして手作業で作成した作業指示書を、今度は施工会社ごとにまとめたうえ、FAXやメールで送信する。