日本オラクルは2016年4月26日、クラウドサービスにおいてアプリケーション開発者向けに実施している施策について説明した。開発者コミュニティーに参加してクラウド活用のナレッジなどを積極的に公開している。さらに、需要の高い分野として、マイクロサービス、機械学習、JavaScriptの三つのテクノロジーを優先的に提供しているという(画面1)。

画面1●クラウドサービスにおいて、マイクロサービス、機械学習、JavaScriptの三つのテクノロジーを優先的に提供している
画面1●クラウドサービスにおいて、マイクロサービス、機械学習、JavaScriptの三つのテクノロジーを優先的に提供している
(出所:日本オラクル)
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写真1●日本オラクル、クラウド・テクノロジー事業統括PaaS事業推進室室長の竹爪慎治氏
写真1●日本オラクル、クラウド・テクノロジー事業統括PaaS事業推進室室長の竹爪慎治氏
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写真2●日本オラクル、クラウド・テクノロジー事業統括PaaS事業推進室エバンジェリストの中嶋一樹氏
写真2●日本オラクル、クラウド・テクノロジー事業統括PaaS事業推進室エバンジェリストの中嶋一樹氏
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 開発者コミュニティーへの情報発信に注力している。開発者のための技術情報共有サービス「Qiita」には、企業の公式アカウントを作成済み。「テクノロジーを実装して提供するだけでは使ってもらえない。サンプルコードやナレッジをコミュニティーに提供することで、テクノロジーを使ってもらえるようにしている」(日本オラクルでクラウド・テクノロジー事業統括PaaS事業推進室室長を務める竹爪慎治氏、写真1)。

 人同士のつながりも重視している。日本全国でミートアップ(勉強会と懇親会)を開催しており、すでに全国で490人の開発者が参加したという。「近々やりたいのがブートキャンプ。マイクロサービス、機械学習、JavaScriptの三つのテクノロジーについて、入門者用のトレーニングを毎月開催したい」(日本オラクルでクラウド・テクノロジー事業統括PaaS事業推進室エバンジェリストを務める中嶋一樹氏、写真2)。

 優先して提供するテクノロジーの一つであるマイクロサービスとは、必要な機能群をすべて提供するサービスではなく、機能ごとに細かく分割したサービスのこと。複数のマイクロサービスを組み合わせることで要件を満たす。これにより、開発生産性やメンテナンス性が高まる。主に、Web API(REST API)の形をとる。かつてのSOA(サービス指向アーキテクチャ)に似たコンセプトだが、より簡素化されている。

 マイクロサービスを簡単に開発できる例として、データベースサーバーをクラウドで提供するOracle Database Cloudを紹介した。Oracle Databaseは2006年からオンプレミス環境でApplication Express(APEX)と呼ぶアプリケーション開発実行環境を提供しており、これをクラウドでも利用できる。これを使うと、データベースを使ったWeb APIを簡単に開発できる。

画面2●IoTデバイスからWeb APIにアクセスするアプリケーションの例
画面2●IoTデバイスからWeb APIにアクセスするアプリケーションの例
(出所:日本オラクル)
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 APEXで開発したアプリケーションの例として日本オラクルの中嶋氏は、空いている会議室を探すアプリケーションのデモを見せた(画面2)。通信機能を備えたボタン型IoTデバイスを会議室に設置し、ボタンを押すことでWeb APIにアクセスし、会議室のステータスを変えるというアプリケーションである。空き状況がリアルタイムに分かる。

 JavaScriptにも注力している。アプリケーションの開発言語として、JavaだけでなくJavaScriptを利用できるようにする。このためのフレームワーク(ソフトウエア開発コンポーネント)を提供している。日本オラクルではJavaScriptのサンプルとして、サーバー側のJavaScript環境であるNode.jsとWebSocketsを利用したアンケート実施アプリケーションをデモしてみせた。