「データ分析を進める前に、まず分析環境を整えるべき。経営資源を有効活用するために不可欠だ」。

写真1●インフォマティカ・ジャパンの久國淳セールスコンサルティング部 ソリューションアーキテクト エバンジェリスト
写真1●インフォマティカ・ジャパンの久國淳セールスコンサルティング部 ソリューションアーキテクト エバンジェリスト
(撮影:井上 裕康)
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 こう訴えるのは、データ統合ソフトウエアを提供する米インフォマティカの日本法人、インフォマティカ・ジャパンの久國淳セールスコンサルティング部 ソリューションアーキテクト エバンジェリスト(写真1)。2016年4月26日、東京・目黒の目黒雅叙園で開催した「イノベーターズ・オープン・フォーラム」(日経BP社 日経ITイノベーターズ主催)で講演し、データ分析を事業に生かすための環境整備の手法について話した。

 講演の冒頭、久國氏は「ほぼ100%の企業が、データ分析を戦略上の優先事項に位置付けている」と指摘。しかし一方で、データを活用しきれていないと現状を認識している企業は約15%だとする。「データ分析を事業に生かす前に、分析環境の整備が重要だ」と久國氏は続ける。分析環境を整える際に注意すべきポイントを「5つのReady」と表現して来場者に開設した。

 まず注意しなければならないのは、データウエアハウス(DWH)などに蓄積しているデータの信頼性だ。「データの整合性を担保する必要がある」(久國氏)。内容は同じだがファイル形式が異なっていたり、複数のデータベースに分けて保管したりしている場合は「データに不整合が生じ、信頼性の観点から利用できない」(久國氏)とする。

 二つめのポイントは、顧客情報を統合的に管理することだ。企業が複数の事業を展開し、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などの複数のチャネルから顧客データを収集している場合、それらのデータを一元的に管理できるように仕組みを整える必要がある。「顧客情報が重複しないように名寄せするなどして、マスターデータを作成するべきだ」(久國氏)。

 久國氏は「データを管理するアプリケーションを無理して統合しないことも、気を付けるべきポイント」として、三つめのポイントを紹介。例えば、ERP(統合基幹業務システム)の例だ。複数の拠点に散在している経営情報を統合的に管理するアプリケーションを構築しようとしても、「コストや業務プロセスなどを考慮すると難しい」(久國氏)という。

 久國氏が推奨するのは、複数の業務アプリ間に「ハブ」と呼ぶデータ連携ツールを置くことだ。やり取りするデータをハブに集約することで、分析用データとして一元的に管理できる。業務アプリそのものを統合しなくても、分析用のデータ統合環境を用意できる。「製薬会社などで採用が進んでいる」(久國氏)という。