NTTデータは2016年4月26日、岩手銀行、福井銀行、京都銀行の地方銀行3行にコミュニケーションロボット「Sota(ソータ)」を配置し、顧客と会話させる実証実験を行うと発表した()。目的は、方言を音声認識で識別できるかなど、地域による特性や特色を把握すること。4月28日の福井銀行を皮切りに順次配置する。

図●コミュニケーションロボット「Sota」の利用イメージ
図●コミュニケーションロボット「Sota」の利用イメージ
(出所:NTTデータ)
[画像のクリックで拡大表示]

 実証実験では、3行の店舗ロビーや窓口などにSotaを設置し、来店した顧客に対して、住宅ローンや教育ローンなどを簡単に紹介させる。Sotaは、目の前に顧客が立つと、顔認識した上で顧客に話しかける。Sotaが認識できた情報や認識できなかった情報を分析することで、今後の対話精度の向上や、活用シーンの具体化に向けて参考とする。

 4月28日に、福井銀行が福井駅西口再開発ビル「ハピリン」に新設した営業拠点「WiL(Woman’s inspiration Library)」にSotaを設置する。続いて、5月11日に岩手銀行の大槌支店、5月中旬に京都銀行の下鴨支店に設置する。

 Sotaはヴイストンが開発した会話用途のロボット。クラウドサービスなどと連携することによって、会話の制御などが可能になる。NTTデータは、センサーデータなどを用いてロボットに高度な処理をさせるための基盤「クラウドロボティクス基盤」を開発しており、これを利用してSotaに会話をさせる。

 金融機関での顧客対応業務は、コミュニケーションロボットの利用シーンとして期待される分野の一つだ。NTTデータは2015年11月に「りそな銀行豊洲支店」(セブンデイズプラザとよす)でSotaを使った実証実験を開始済み。今回、地域金融機関での活用を推進するため、各地域の特性や特色を把握することを目的に新たな実証実験を開始した。

 NTTデータは、実証実験でコミュニケーションロボットの有効性を検証し、2016年度中の商用化を目指す。顧客対応以外の活用方法としては、ATM(現金自動預け払い機)や番号受付機、営業店タブレット端末との連携など、ロボットと機器を連携させた新たなサービスを検討する。さらに、収集した対話情報をマーケティングに活用することも検討する。