総務省は2016年4月26日、BS・東経110度CSによる4K・8K実用放送の実施に向けた関係省令および関係訓令の整備案を作成したと発表した。

 今回の制度整備案は三つである。このうち「放送法関係審査基準(平成23年総務省訓令第30号)の一部を改正する訓令案」では、BS・東経110度CSによる4K・8K実用放送の業務について、認定に当たり指定することのできる周波数が不足する場合に実施する比較審査の基準も定めている。

 比較審査は、絶対審査の終了後に割り当てる周波数が不足する場合に実施する。第一次比較審査では、「青少年の保護(成人向け番組を行わない)」「字幕番組の充実(字幕付与率5割以上)」など四つの項目にすべて適合する申請を優先する。

 さらにBSの右旋円偏波(BS右旋)の利用を前提にする認定申請については、BS右旋で4K・8K実用放送に利用できる帯域として2トランスポンダ(電波中継器)分を確保できるメドが立った場合、「現在、放送に使っているBS右旋の帯域のうち8スロット以上を認定の日から起算して1年6月を経過する日までに返上する」など一定の要件を満たす特定申請を優先する。第一次比較審査でも認定先が決まらない場合は、第二次比較審査を行い、より適切な申請を総合的に評価する。

 今回の制度整備案には、「基幹放送の業務に係る特定役員及び支配関係の定義並びに表現の自由享有基準の特例に関する省令(平成27年総務省令第26号)の一部を改正する省令案」と、「放送法施行規則(昭和25年電波監理委員会規則第10号)の一部を改正する省令案」も含まれている。

 前者は、認定申請者および認定放送持株会社などがBS・東経110度CS放送の業務に使用するトランスポンダ数の制限を緩和する旨の規定を整備するためのものである。後者は、BS・東経110度CS放送の業務認定申請書などの様式について、4K・8K実用放送を行う場合の記載事項などの規定の整備を目的とする。

 総務省は、今回の制度整備案について、2016年4月27日に意見募集を開始する。意見は2016年5月31日まで受け付ける。

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