日本オラクルの杉 達也クラウド・テクノロジー事業統括Fusion Middleware事業統括本部ビジネス推進本部担当ディレクター
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「2週間で最初の実装ができた。会議のたびに機能拡張できた」と話すソフトバンクの山口典男IT統括ITサービス本部CPS事業推進室室長
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 日本オラクルは2016年4月26日、「Oracle Internet of Things(IoT) Cloud Service」の導入事例を発表した。紹介した事例は、豊島で2016年3月26日から始まった電動バイクのレンタル事業「瀬戸内カレン」。運営企業はソフトバンクのグループ企業であるPSソリューションズ。日本オラクルはIoT領域の製品を拡充していく方針で、迅速な導入、機能拡張性の高さを事例紹介でアピールした。

 日本オラクルのIoT Cloud Serviceは、データを収集する端末が接続するゲートウェイとデバイス管理やストリーム処理をするアプリケーションのパッケージ製品。大量データの分析や加工といった機能を備える同社のクラウドサービスを使い、リアルタイムのデータ処理と配信、IoT端末上アプリケーションの遠隔管理などができる。

 PSソリューションズは瀬戸内カレンの基盤システムにIoT Cloud Serviceを組み込んで、バッテリー残量や走行位置を収集。走行可能距離やフェリー出航までの猶予時間などの情報を、利用者がスマートフォンやPCで閲覧できるようにしている。豊島の観光客の利用を想定する。豊島は香川県の離島で、瀬戸内国際芸術祭の開催地の一つ。最近、アートスポットとして観光客が増えている。

 日本オラクルはIoT Cloud Serviceの強みとして「必要なクラウドサービス群を組み込んでおり、容易にサービスを開発できるようにした」と説明する。瀬戸内カレンの事業開始に関わった日本オラクルの技術者は3人。他の例では、利用企業への説明だけで導入できた例もあるという。

 日本オラクルのクラウド・テクノロジー事業統括Fusion Middleware事業統括本部ビジネス推進本部担当ディレクターの杉 達也氏は「IoT Cloud Serviceはデバイス管理機能とセキュリティ機能を最初から組み込んでいる。端末管理、データ配信環境を、簡単な設定作業だけで実装できる」と実装の簡便さを強調した。瀬戸内カレンの管理環境は2週間足らずで開発、日本オラクルがPSソリューションズの依頼を受けて正確な走行可能範囲の解析機能を拡張した。

 PSソリューションズがIoT Cloud Serviceを使って正確な走行可能範囲の情報を配信する狙いは、バッテリー切れを心配する観光客が電動バイクを使える時間の目安を把握できるようにするためだ。電動バイクにはバッテリー残量計が付いているが、それだけでは走行距離が分かりづらい。

 例えば電動バイクで山を登るとバッテリーを多く消費するが、下りるときには充電する。山頂でバッテリーがほとんど残っていなくても、港に戻れる場合が多い。PSソリューションズは高度情報を位置情報から算出、IoT Cloud Serviceを使ってリアルタイムに高度を考慮した走行可能範囲を解析、配信している。

 IoT Cloud Serviceは、IoT端末と接続するゲートウェイ装置にラズベリーパイ(Raspberry Pi)、端末との通信にはBluetoothを使うことが多い。瀬戸内カレンでは携帯電話のデータ通信回線を使っている。IoT端末からのデータ収集技術は、ほとんどがIoT Cloud Serviceのために新たに開発した。