楽天は2016年4月25日、ドローン(小型無人飛行機)を使った配送サービス「そら楽(そららく)」を5月9日に開始すると発表した。三木谷浩史代表取締役会長兼社長は、「商用サービスとしては世界初ではないかと思う。今後、日本の地理的な状況や法制度、文化などを勘案して、日本に最適なサービスを展開したい」と話した(写真1)。
まずはゴルフ場内に限定したエリアで開始
サービス開始時点の提供エリアは、千葉県夷隅郡御宿町のゴルフ場「キャメルゴルフリゾート」内となる。同ゴルフ場内にて、まずは1カ月限定でサービスを提供し、利用者のニーズ、運用の状況、技術的な課題などを分析したうえで、サービスの継続や拡大、他のエリアへの展開を検討していく。
同社が最初の提供エリアとしてゴルフ場を選んだのは、安全性を重視したためである。三木谷代表取締役会長兼社長は、「広大で開けた空間があり、目視での認識が容易。万が一のことも考えると、人口が密集していないゴルフ場は最適だった」と話す。
もちろん、今後の事業展開を見据えてのことでもある。「ゴルフ場は日本全国で3000カ所以上あり、市場規模が大きい。まずは、ここでしっかりと技術を蓄積して、他のエリアへの展開を検討していく」(三木谷代表取締役会長兼社長)。
ゴルフ場での利用イメージは、コースに出てプレイしている利用者が、飲み物や軽食を注文して配送する用途を想定している。そら楽で配送してもらうには、専用のスマホアプリから注文する必要がある。利用者は、専用のスマホアプリを起動して、現在プレイ中のコース番号を指定し、配送してほしい商品を選択して、その場で決済する。
決済時に楽天会員情報にアクセスするため、サービス利用にはあらかじめ楽天会員IDでログインしておく必要がある。決済時に楽天スーパーポイントを利用することもできる。
当初の品揃えは、飲料、軽食、ゴルフ用品などを中心に、合計100点ほどを予定している。ただし、ドローンで配送できる荷物が最大2キログラムまでに制限されるため、重量を超えた商品は注文できない。専用スマホアプリには、選択した商品に応じて重量を自動計算して表示する機能がついている(写真2)。