「人工知能やロボットなどが注目を浴びる今だからこそ、“人”の重要性が高まっている。人を第一に考え、行動する企業が、デジタルエコノミーの勝者になる」。アクセンチュアの立花良範執行役員デジタルコンサルティング本部統括本部長(写真)は2016年4月25日、同社の調査レポートを解説する記者発表の場でこう語った。
調査レポートの名称は「Accenture Technology Vision 2016」。3100人以上の企業幹部から回答を集め、世界のテクノロジートレンドを予測したものだ。毎年発表される同調査には副題がついており、今年のそれは「主役は“ひと”:デジタル時代は“ひと”こそ最優先」だった。
調査では、五つのテクノロジートレンドを定義した。第1のトレンドが、人工知能やロボットを使いこなすことで、業務オペレーションの自動化を図る「インテリジェント・オートメーション(Intelligent Automation)」だ。「超少子高齢化を迎え、労働力が不足する日本にとって、人工知能やロボットの活用は不可避。人にしかできない業務は何かを考え、より高付加価値な労働に人材を振り向けることが重要」と立花執行役員は指摘した。
進歩するデジタル技術に対応するには、固定的な組織構造やキャリアパスでは限界がある。「流体化する労働力(Liquid Workforce)」が求められるというのが、第2のトレンドだ。
このほか、立花執行役員は「プラットフォーム・エコノミー(Platform Economy)」「破壊を予期する(Predictable Disruption)」「デジタル時代の信頼(Digital Trust)」の3項目をトレンドとして挙げた。
すべてのトレンドを一通り説明した立花執行役員は「テクノロジーを取り入れることは必要だが、それ以上に、テクノロジーを活用できる人材を育てることが重要」と強調した。