欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)は現地時間2016年4月20日、米GoogleがモバイルOS「Android」の独占的地位を乱用して欧州の独占禁止法(欧州競争法)に違反している恐れがあるとして、同社および親会社のAlphabetに異議告知書(Statement of Objections)を送付したと発表した。

 ECは、GoogleがAndroid端末メーカーに対し、Googleの一部アプリケーションを利用する条件として、検索サービス「Google Search」や「Chrome」ブラウザーを初期設定ツールとしてプリインストールするよう要請したと指摘。これにより、端末メーカーがAndroidのオープンソースコードをベースにした競合OSを採用することを制限したと非難した。

 また、Google Searchを優先的にプリインストールしてもらうために端末メーカーやモバイルキャリアに多額の金銭的インセンティブを与えたとしている。

 ECはこれらの商慣行が欧州独占禁止法に抵触すると主張。インターネット検索サービス全般におけるGoogle Searchの支配的地位をいっそう強固なものにする可能性があるとの懸念を示した。また、幅広いモバイル市場の競争と革新を阻害し、選択肢を制限することで消費者に損害を与えたと判断したという。

 ECによると、世界および欧州のスマートフォンのうち約80%をAndroidが占める。Google検索エンジンは欧州経済領域の各国で概ね90%以上のシェアを獲得している。

 独占禁止法違反が確認された場合、Googleは年間総売上高の最大10%に相当する制裁金を科せられる可能性があり、直近の年間売上高をもとにするとその額は約70億ドルにのぼる(米New York Timesの報道)。

 英Reutersは、「Androidが競争にとっても消費者にとっても良いものであることを証明するためにECと協力していきたい。いずれの端末メーカーもGoogleのアプリケーションと競合製品を実装できるし、ユーザーも自由にアプリケーションを選べる」とするGoogle法務顧問のコメントを伝えている。GoogleはECの異議告知書に対して12週間以内に反論できる。

 ECがAndroidの正式調査を開始したのは2015年4月。同じ時期に、ECはGoogleの比較ショッピングサービスに関して、独占禁止法違反であるとの見解を正式に示している(関連記事:欧州委、競争法違反の疑いでGoogleに警告、Androidも正式調査へ)。

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