サービス開始の狙いを説明するニフティの佐藤淳之ネットワークサービス事業部カスタマーサービス部 部長
サービス開始の狙いを説明するニフティの佐藤淳之ネットワークサービス事業部カスタマーサービス部 部長
実証実験の手応えを熱弁するNPO法人日本福祉ネットワークの山中規光 理事長
実証実験の手応えを熱弁するNPO法人日本福祉ネットワークの山中規光 理事長
介護事業者がサービス利用者の自宅に設置する機器。左●データをLTE通信で送受信するルーター、右●各種センサーとエアコンのリモコンを内蔵
介護事業者がサービス利用者の自宅に設置する機器。左●データをLTE通信で送受信するルーター、右●各種センサーとエアコンのリモコンを内蔵

 ニフティは2016年4月20日、在宅介護事業者に向けた見守り支援サービス「おへやプラスPRO」を発表した。同サービスは介護事業者にセンサーと通信機器を提供し、「温度」「湿度」「照度」の監視とエアコンの遠隔操作を行えるようにする。LTE通信とセットで提供し、介護事業者は提供された機器を電源につなげるだけで利用できる。ニフティは販売開始後も事業者の声を反映し、サービス内容を拡張する方針。5月11日から販売する。

 「おへやプラスPRO」は、個人向け見守りサービス「おへやプラス」を介護事業者向けに拡張したサービス。従来の「室温」「湿度」に加え、「照度」を測定できるようにし、集めたデータをニフティのクラウドに収集。事業者が見やすい形に加工して配信する。送信する情報に個人情報を含めず、プライバシー保護に配慮した。

 ニフティはNPO法人日本福祉ネットワークと協力して、2年前から同サービスの実証実験を行ってきた。「在宅では事業者が行えることも限られる。外部からの見守り、エアコン操作はずっと求めていた」とNPO法人日本福祉ネットワークの山中規光 理事長は話す。最初の課題は価格だという。同NPO法人では実績データを集めて行政に補助金を求める予定。

 ニフティが今回の新サービスを始める背景には、介護の現場が施設から在宅へとシフトしている事情がある。65歳以上の1割以上が自宅で介護を受けているという。要介護者が自宅での熱中症や急激な気温差による脳梗塞といった、いわゆるヒートショックに陥るケースが増えている。

 日本福祉ネットワークではエアコンを使った予防を訴えてきたが、介護利用者や家族だけの対応では限界があるという。介護事業者がエアコンを遠隔操作する予防策は、介護利用者にも、その家族にも必要だと見解を示した。自宅の情報を数値として監視することで、認知症の発症や体調変化の前兆を捉えられるという。

 ニフティは介護事業者の意見を基に、収集データから体調異常の前兆を自動で検知する機能の実装も見込んでいる。同社は介護事業社のノウハウを収集し、自社で介護サービスを始めることも視野に入れている。ニフティ ネットワークサービス事業部 カスタマーサービス部の澤木 然 氏は「本サービスは設計からAPIを提供できる形で用意している。事業者の要求があれば外部サービスとの連携もありえる」と話す。

 月額料金は、管理費1万500円と、設置機器1台当たり1800円。1年間で50以上の事業者との契約を見込んでいる。