米Amazon.comはまもなく、米国の最大の学区であるニューヨーク市と電子書籍の販売に関する契約を締結する見通しだと、複数米メディアが現地時間2016年4月19日までに、米Wall Street Journalの記事を引用して伝えた。

 それによると、ニューヨーク市教育局は4月20日(現地時間)、Amazon.comとの当初3年間の契約に関して採決を行う予定。これが決まれば、9月の新学期から同市内の学校で使われる電子書籍をAmazon.comが提供する。

 契約の対象となるのは、電子教科書をはじめとするざまざまな電子書籍コンテンツ。その合計金額は約3000万ドルで、内訳は1年目が430万ドル、2年目が860万ドル、3年目が1720万ドルと見込まれている。また米Fortuneによると、契約には期間延長のオプションがあり、その場合の取引金額は5年間で6450万ドルに上るという。

 この契約の下、ニューヨーク市教育局の職員は、市専用のマーケットプレースでAmazon.comから書籍コンテンツを購入する。これらのコンテンツは市の学校に通う児童・生徒が使うあらゆる機器で利用できるという。また市が購入した書籍コンテンツはその権利を市が保有し、市内の学校間で移動できる。なお今回の契約にはAmazon.comの電子書籍端末「Kindle」は含まれていない。

 ニューヨーク市教育局によると、同市は1800以上の学校と110万人の児童・生徒を抱える米国最大の学区。こうした教育市場はAmazon.comのようなテクノロジー企業にとって魅力的なターゲットだと、Wall Street Journalは伝えている。

 同紙によると、Amazon.comはすでに教育市場に向けた取り組みを進めている。例えば、2013年には算数用の学習ソフトウエアを手がける米TenMarks Educationを買収した。また同社は、マサチューセッツ大学アマースト校やパデュー大学などと、学生に教科書などを販売する共同ブランドのWebサイトを開設している。