ファナックは2016年4月18日、米シスコシステムズ、ファクトリーオートメーション(FA)大手の米ロックウェル・オートメーション、Preferred Networks(PFN)と協業すると発表した(写真1)。4社は共同で、工場のロボットやセンサー、CNC(コンピュータ数値制御装置)などから収集したデータを分析して、生産設備を制御するソフトウエア製品群「FANUC Intelligent Edge Link and Drive (FIELD) system」を開発する。2016年下期に製造業向けに提供開始する。

写真1●協業した、ファナック、米シスコシステムズ、米ロックウェル・オートメーション、Preferred Networksの代表者たち。右から4番目がファナックの稲葉善治 代表取締役社長。右から2番目がPFNの西川代表取締役社長
写真1●協業した、ファナック、米シスコシステムズ、米ロックウェル・オートメーション、Preferred Networksの代表者たち。右から4番目がファナックの稲葉善治 代表取締役社長。右から2番目がPFNの西川代表取締役社長
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 FIELD systemの中核となるのは、ファナックとシスコシステムズが2016年1月に発表した「ZDTソリューション」。工場内の産業用ロボットから収集した稼働データを分析して故障を予兆し、生産ラインの停止時間をゼロにするものだ。IoT(Internet of Things)データ収集ソフトウエアや、シスコシステムズが提供するクラウド環境などで構成する。 既にファナック製ロボット6000台に対して稼働しており、2016年内には1万台に達する見込みだという。

 このほかFILED systemには、ファナックが提供する品質情報管理システム「ROBOSHOT-LINKi」や、PFNが開発した深層学習フレームワークのChainer、機械学習機能を提供するライブラリなどを実装する。シスコシステムズとロックウェル・オートメーションが共同開発した、産業用イーサネット「Converged Plantwide Ethernet(CPwE)」を採用する。

 必要に応じて、工場での稼働に必要なネットワーク機器やシスコシステムズ製サーバー「UCS(Unified Computing System)」なども提供する。PFNの西川徹 代表取締役社長 最高経営責任者は「機械学習技術によるロボットの制御は、工場内に設置したUCSを中心にした“フォグ”と呼ぶ層で完結できる。クラウド上にデータを収集しなくても、生産工程を最適化するのに役立てられる」と話す。

写真2●FILED systemを構成するソフトウエア製品はWindows、Linuxに対応する
写真2●FILED systemを構成するソフトウエア製品はWindows、Linuxに対応する
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 製造業のユーザーはFILED systemを使って、それぞれが保有する工場の生産工程に適したアプリケーションを開発できる。ファナックの稲葉善治 代表取締役社長は「FILED systemはオープンなプラットフォームを目指す。センサーメーカーや競合のロボットメーカーなども、FILED systemを利用できるような仕組みを計画している」と話す。FILED systemの対応するOSはWindows、Linuxを想定している(写真2)。

 FILED systemの提供価格は非公表。「月額利用での価格体系なども検討している」(ファナック)。