熊本市は2016年4月16日未明に発生した大地震(熊本地震)で、税や社会保障などの行政事務に使うホストコンピュータが故障したことを明らかにした。18日までにデータの損失は起こっていないことを確認し、応急処置を済ませた。19日以降、段階的に復旧させる予定である。

 行政管理部情報政策課の説明によれば、ホストコンピュータは市役所本庁舎内のマシン室に設置している。14日夜に起こった「予震」後には、目立った被害は無かった。ところが16日未明の「本震」では本庁舎が激しく揺れた。

 この時実行中だった税務関係の夜間バッチ処理は担当者が急きょ終了させた。それと前後して、マシン室内では天井板が落ちたりラックが倒れたりした。倒れてきた物が管理端末を直撃して破損。ホストコンピュータ自体も停止し、起動しない状態になった。

 地震が比較的落ち着いた17日にマシン室内で調査したところ、コンピュータ本体に大きな損傷はなく、データの破損もないことが分かった。別の管理端末をつないで手動操作すると、問題なく起動した。ただし、マシン室の空調が壊れたり、自動運用の仕組みを復旧できていなかったりするため、当面は縮退運用を強いられるという。

 窓口のある区役所や、そこに勤務する職員も被災しているため、「コンピュータが復旧しても、業務自体が正常化するまでには時間がかかる」(情報政策課)としている。

 被害を受けたホストコンピュータは、税務と社会保障業務の一部(生活保護や児童手当など)に使っている。熊本市は段階的に行政システムのオープン化とデータセンターへの移設を進めてきた。住民管理を含む大半の業務システムは別の場所にあるデータセンターに収容しており、地震による影響は無かった。

■変更履歴
記事公開当初、第2段落で「15日夜に起こった『予震』」としていましたが、正しくは「14日夜」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2016/04/19 17:45]