2016年4月14日以降、地震が相次ぐ熊本などの地域に対して、IT企業がクラウドサービスを無償提供する動きが広がっている。現地との連絡や情報共有に使えるサービスを提供することで、公共機関や企業を支援する。

 パイプドビッツは2016年4月15日、各種データ管理やメール配信機能などを持つプラットフォームサービス「スパイラル」の無償提供を開始した。地震にまつわる連絡やボランティア活動の案内などに使える「メール配信アプリ機能」や、安否確認や対応状況の把握などのための「問い合わせ管理」などのツールを用意する。現地企業だけでなく、他県在住者が今回の地震に関するボランティア活動を実施するといった用途にも使えるという。

 ネット会議サービス「V-CUBE ミーティング」を提供するのがブイキューブだ。2016年4月15日に、無償提供を発表した。九州地域に拠点を置く企業/学校/官公庁や、九州地域に取引先がある企業が対象だ。10拠点での同時接続が可能で、オフィスや学校への通勤/通学が難しい、電話がつながりにくいといった状況でも仕事や勉強ができるようにする。

 富士ソフトも同日、各種資料を共有できるサービス「moreNOTE」の無償提供を開始。対象は、被災地域、または被災地域との情報共有が必要な自治体と企業。ID数は30で、5GBのディスク容量を利用できる。

 2016年4月17日にはインフォテリアが、情報共有サービス「Handbook」を無償提供。被災した企業や団体は、50人まで利用できる。ストレージ容量は1GB。利用に当たっては、電話サポートも受けられる。

 社内SNS「Talknote」を手掛けるトークノートは2016年4月18日、熊本県に本社を構える企業や学校法人、団体に向けてTalknoteの無償提供を始めた。安否確認や緊急連絡などの用途を想定する。既にTalknoteを利用している企業に対しては、4/5月分の費用免除も行う。

仮想デスクトップやコンテンツ配信ネットワークも

 仮想デスクトップを用いた支援もある。AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)専業のシステムインテグレーターであるサーバーワークスは2016年4月15日、AWSの仮想デスクトップサービス「Amazon WorkSpaces」を3カ月間無償提供すると発表した。地震によって出勤が困難になった人が、自宅や避難先から仕事ができるように支援する。

 Webサイト向けの支援を表明したのがJストリーム。2016年4月15日に、地震の関連情報を提供するWebサイト向けに、CDN(コンテンツ配信ネットワーク)サービスの無償提供を開始した。CDNの活用を促進し、アクセス集中によるサーバー停止などを回避する。