マイナンバーカード(個人番号カード)の交付が「カード管理システム」の障害などによって遅れていることについて、総務省は平日日中のシステムへのアクセス集中時間はカード交付前の設定作業を控えるよう自治体に求めていることが2016年4月18日までに分かった。住民へのカード交付作業を優先するよう求めるものだが、自治体からは困惑の声も上がっている。

 自治体が住民にカードを交付するには、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)が運営するカード管理システムにアクセスして、自治体の担当者がカードの交付前設定をする必要がある。交付前設定には、自治体にある「市町村統合端末」の本人確認情報とカードの券面情報との照合や、カード内蔵ICチップに搭載した券面アプリケーションの情報の確認、電子証明書の利用希望の確認といった作業がある。

 ところが、カード管理システムは2016年3月に平日の午前9時30分から午後12時頃や午後2時台の時間帯になると、自治体からのアクセスが集中して接続しにくい状況が頻発。総務省によると、カード管理システムは住民基本台帳ネット(住基ネット)と同じ通信回線を利用しているため、年度末は住民の転居などに伴って自治体から転入・転出の手続きで通信が急増したため接続しにくくなったという。そのためJ-LISはカード管理システムの利用時間を延長した。

 新年度に入ってアクセス集中は収まってきているものの、総務省はアクセス集中時間に交付前設定を行うと、結果的にカードの交付が遅れる恐れがあるという。ただ、自治体関係者からは「交付前設定も速やかな交付には必要だ」と困惑する声も上がっているものの、総務省は「窓口で住民を待たせないで交付するため」(住民制度課)として理解を求めたい考えだ。

 カード管理システムは、自治体からのアクセス集中とは別に、2016年1月、2月に障害が発生した。原因は中継サーバー内の暗号処理装置の動作に関係する部分にあるとみられ、改修を実施した3月11日以降、障害は起きていないという。ただ、原因調査は現在も続けているとしている。