日立製作所は2016年4月14日、社内の各ビジネスユニット(BU)を技術支援するソフトウエア製品群「IoTプラットフォーム」の開発・構築を強化すると発表した。IoT(Internet of Things)や人工知能(AI)などを活用して、鉄道BUや電力BUなどの事業に生かす。2016~2018年度の3年間で累計1000億円を開発費用として投じる。2016年5月には、IoTプラットフォームの第一弾となるソフト製品を提供開始する計画だ。

写真1●米GEや米IBMに対して優位性をアピールする、日立製作所サービス&プラットフォームBU CEO(最高経営責任者)の小島啓二執行役専務
写真1●米GEや米IBMに対して優位性をアピールする、日立製作所サービス&プラットフォームBU CEO(最高経営責任者)の小島啓二執行役専務
[画像のクリックで拡大表示]

 IoTプラットフォームの中核となるのは、同社が2015年5月に買収した米ペンタホ製のデータ分析ソフト「Pentaho」。OSS(オープンソース・ソフトウエア)ベースのソフトで、IoTのセンサーやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)など100種類以上のデータ形式に対応し、それらを可視化、分析できる。

 サービス&プラットフォームBUが中心となってIoTプラットフォームの開発、提供を進める。日立製作所サービス&プラットフォームBU CEO(最高経営責任者)の小島啓二執行役専務は「制御機器などのOT(オペレーショナルテクノロジー)と、日立が強みとするITの技術を融合させ、事業拡大に生かす」と話した(写真1)。

 小島 サービス&プラットフォームBU CEOは「IoT向けのデータ分析基盤では米GE(ゼネラル・エレクトリック)の『Predix』が先行しているが、当社の方がソフト関連事業の規模は大きい。米IBMなどのITベンダーも狙っている市場だが、制御機器などのノウハウでは当社のほうが長けている。これらの企業に対して優位に立てる」とアピールした。

 サービス&プラットフォームBUは、日立製作所が実施した2016年4月1日付の構造改革で新設した組織。旧インフラシステム社から移管した制御機器向けソフトの開発部隊と、旧情報・通信システム社から移管したプラットフォーム事業の開発部隊を中心に構成する。構成人数は約7000人で、約3000億円の売上規模を見込む。

写真2●IoTプラットフォームの開発を進めるため、約200人規模の中核拠点をシリコンバレーに設立する
写真2●IoTプラットフォームの開発を進めるため、約200人規模の中核拠点をシリコンバレーに設立する
[画像のクリックで拡大表示]

 5月には、同BUの中核拠点となるグローバルヘッドクォーターを米国シリコンバレーに設立する(写真2)。設立時の構成人数は、エンジニアなどを中心に約200人。IoTプラットフォームに必要な、データ分析やAIなどの技術開発を進める。

 小島 サービス&プラットフォームBU CEOがIoTプラットフォームの活用例として挙げたのが、鉄道事業。同社の稼ぎ頭である同事業では、車両などの製品開発だけでなく、運行管理システムや保守メンテナンスなどのサービスも提供している。「運行管理や保守メンテナンスなどのサービスに、IoTやデータ分析などを活用して、事業強化したい」(小島サービス&プラットフォームBU CEO)。

 IoTプラットフォームは仮称で、5月に正式名称を発表する見通し。