理化学研究所は2016年4月13日、人工知能(AI)の研究拠点「革新知能統合研究センター」を4月14日に設置すると発表した。文部科学省が進めるAIPプロジェクト(AI/ビッグデータ/IoT/サイバーセキュリティ統合プロジェクト)の中核拠点として、先進的なAI基盤技術をはじめとする研究開発を進める。研究センター長として、東京大学大学院教授の杉山将氏が内定している。

 AIPプロジェクトは革新的なAI技術を中核とし、ビッグデータ解析やIoT(Internet of Things)、サイバーセキュリティ技術を統合する次世代プラットフォームを形成して、科学技術研究の革新や様々な分野での実用化を進めることを狙うもの。革新知能統合研究センターは同プロジェクトの目標に向け、AIの研究開発に加えて、生物科学などのサイエンスへの適用や、高齢化などの課題解決に向けた技術開発に取り組む。具体的な研究テーマや体制、実施計画は検討中という。

 研究センター長に内定している杉山氏は現在、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授を務めている。研究分野は、機械学習の基礎理論の構築や実用的なアルゴリズムの開発など。理研は杉山氏に関して、東大とクロスアポイントメント協定の締結に向けた手続きを進めていくという。同センターの特別顧問に、米カーネギーメロン大学教授の金出武雄氏を委嘱することも発表した。

 総務省、文部科学省、経済産業省の3省は、次世代AI技術の研究開発に関する3省連携体制を具体化するための準備を進めている。総務省系の情報通信研究機構 脳情報通信融合研究センター、経産省系の産業技術総合研究所 人工知能研究センター(関連記事:「国内トップ人材のハブに」、産総研・人工知能研究センター設立の狙いをセンター長が語る)に、今回文科省系の革新知能統合研究センターが加わり、3省連携の体制が整ったといえる。4月25日には、3省が推進するAI研究開発に関するシンポジウムを開催する。