IoT標準化団体の一つでフォグコンピューティングを推進するOpenFog Consortiumは2016年4月12日、IEEE(米電気電子学会)、米GEデジタル、仏シュナイダーエレクトリックが理事(Board Director)として加入したと発表した。工場の自動化など、産業分野におけるフォグコンピューティングの導入を加速させる。

 OpenFog Consortiumは、英ARM、米シスコ、米デル、米インテル、米マイクロソフト、米プリンストン大学が2015年11月に設立した。端末とデータセンターの間にあるルーターやエッジサーバーなどの計算資源を柔軟に活用する「フォグコンピューティング」推進のため、オープンアーキテクチャーの定義、ユースケースの開発、相互運用性の検証などを担う。

 日本では、データセンター事業者のさくらインターネットが、アジア地域初のContributing Memberとして加入した。Contributing Memberは運営メンバーの推薦・選定、運営方針への議決権などがある。

 これに合わせてOpenFog Consortiumは日本の地域組織「Japan Regional Committee」を設置。日本の得意とする分野として、サービスロボットや工場の自動化、自動運転といった応用を検討する。

 同組織の運営に参加するさくらインターネット フェローの小笠原治氏は「現在のクラウドは、大手IT企業のデータセンターにすべての生データが集まる構成になっている。自動運転や音声認識など、処理の一部をネットワークで担うことができれば、応答速度、コスト、消費電力、プライバシー保護などの点で有利になる」と語る。

 日本の地域組織には、さくらインターネットに加えてARM、シスコ、デル、富士通、インテル、マイクロソフト、東芝の担当者が参加する。さくらインターネットは「さくらのIoT Platform α」を、フォグコンピューティングを生かしたサービスのテストベット(試験環境)として、2016年4月末から参加企業に提供する。