「技術者の世代交代で業務システムの構造を把握できていない企業を支援する」と説明する森 茂雄クラウドプラットフォーム事業部シニアマネージャー
「技術者の世代交代で業務システムの構造を把握できていない企業を支援する」と説明する森 茂雄クラウドプラットフォーム事業部シニアマネージャー
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 NECは2016年4月12日、業務システムの統合開発環境「SystemDirector Enterprise(SDE)」に、新たに二つの製品を追加した。新製品はアプリケーション資産を解析・評価して内容を可視化する「SDE Asset Innovation Suite(AIS)」と、請求書のような帳票のフォームを開発できる「SDE for Report」。3年間で合計1000ライセンスの販売を見込んでいる。

 AISは顧客企業が保有するアプリケーションを解析して、利用状況やシステム構造を一覧にする。利用状況解析は利用回数、処理時間などを数値化し、アプリケーションがどれくらい使われているかを一覧にする機能だ。

 システム構造解析は、モジュールの引用関係・データアクセス関係や、改修によって影響を受けるシステム範囲をそれぞれ一覧にするためのもの。例えば、データベース(DB)やファイルを利用するプログラム名を検出し、更新や参照といった利用範囲を含めて一覧にできる。業務システムを再開発するためのシステム構造解析需要を見込んでいる。

 NECは企業が開発した数万のアプリケーションを調べ、その構造を28パターンに分類した。パターン分類の結果を基にアプリケーションを解析できるようにした。継続的に機能拡充していく予定で、将来的にはソースコードからアプリケーション設計書の逆生成を目指す。

 4月の販売時でのAISは、ACOS-4/COBOLプログラムと関連アプリケーションを対象としている。対象のシステムとプログラム言語は今後増やしていく予定。

 NECは、ACOS-4の需要は底堅いとみて保守は続ける方針だが、将来的に企業はACOS-4からオープンシステムやクラウドへの移行を検討せざるを得ないとしている。業務システムの再設計を効率よく行う手法を研究し、今後も新しい製品を拡充していく予定。ACOS-4の利用企業数は約400あり、このうちの20%にあたる80社へ販売することを見込んでいる。

 同時に発表したSDE for ReportはExcelで作成された帳票レイアウトを読み込み、帳票の項目仕様書や編集可能な帳票フォームを生成する。利用企業は7種類用意したテストデータと自動生成された項目仕様書から、帳票の自動生成をテストできる。項目仕様書の設計から帳票フォームのプレビューまでを一括して実行可能。開発効率を高めて保守管理費を削減できる。NECは10月に帳票処理するバッチアプリケーションの開発環境を追加する予定。