写真1●2016年4月8日に行われた「イスラエル イノベーションフォーラム “Go Israel”」
写真1●2016年4月8日に行われた「イスラエル イノベーションフォーラム “Go Israel”」
主催はデロイト トーマツ グループとイスラエル大使館経済部
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 「数年前とは“空気”がすっかり変わった。同様のイベントを開催しても、これまでは登壇者がいなかったが、今ではたくさんの人に話してもらえる」。

 こうしたコメントが数多く聞かれたのが、2016年4月8日に開催された、イスラエルへの投資を促すためのイベント「イスラエル イノベーションフォーラム “Go Israel”」だ。

 以前からイスラエルの研究開発力に対する注目度は高かったもの、企業の動きは鈍かった。状況が変わったきっかけは、2014年当時に経済産業大臣だった茂木敏充氏が、2015年1月には安倍晋三首相が、相次いでイスラエルを訪問したことだという。政府間の距離が縮まったことを受け、民間レベルの交流が促進されたというのだ。

 今回のイベントには、2016年1月にイスラエルの通信用半導体メーカー「アルティアセミコンダクター」を買収したソニーからも、チーフ・ファイナンシャル・ストラテジストの染宮秀樹氏がパネリストとして参加、IoT(Internet of Things)時代に適した通信技術を必要とした買収背景を語った。

 染宮氏が参加したパネルディスカッションに登壇した、 NTTドコモ・ベンチャーズ取締役副社長の秋元信行氏は、ここ数年にわたり定期的に現地にスタッフを送り込んでいる経験を踏まえ、「日本企業を積極的に受け入れる姿勢に驚いた」とする。

 今回のイベントでは、イスラエルのような海外のイノベーション拠点に対する経済産業省の方針が、以前と比べて変化していることも紹介された。「海外にならって国内拠点を作っていこう、ではなく、今後は世界のイノベーション拠点を活用していく」という方針だ。2015年にはシリコンバレーに国内から20人のイノベーターを選抜して送り込んだが、今後の派遣先としてはイスラエルも視野に入れているという。

 このほか、同日のイベントには、主催者であるデロイト トーマツ グループの現地責任者による同国の魅力や最新事情報告、古くから現地進出を果たしている安川電機の担当者からの実践に基づいたノウハウ共有、イスラエルのベンチャー企業からのオンライン・ピッチ(売り込み)も行われ、イスラエル企業の実力や文化に多面的に触れる機会となった。