サイバーエージェントとテレビ朝日の共同出資会社であるAbemaTV(AbemaTV社)は2016年4月11日、インターネットテレビ局「AbemaTV」の本開局記者発表会を開催した。

 AbemaTV社の取締役会長である早河洋氏(テレビ朝日 代表取締役会長兼CEO)は、今回の提携の経緯を「2014年10月にサイバーエージェントの藤田晋社長から、『テレビの退潮が見えている中、それを克服する新しい事業をやりませんか』という趣旨の提案をいただいた」と説明した。「藤田社長の構想は、ミレニアル世代にとってなくてはならない映像端末になっているスマートフォンにいくつものチャンネルを編成し、無料で見てもらうテレビ型の無料配信サービスというものだった」「テレビ朝日はインターネットを成長事業と位置付けていたので、即座に藤田社長の構想に賛同させていただいた。テレビ朝日にとって、若い世代の視聴者の獲得や、それに伴う広告ビジネスの拡大にもつながるという思いがあった」とした。

 サイバーエージェントとテレビ朝日は2015年4月にAbemaTV社を立ち上げ、約1年間、開局に向けた共同作業を進めてきた。「テレビ朝日は『AbemaNewsチャンネル』の制作を報道局が請け負うほか、オリジナルバラエティーの企画制作や、コンテンツの編成や調達の面で全面的に協力している。テレビ朝日の社内にプロジェクトチームを設けており、現在約30人の出向者や専任担当者が作業に当たっている」と現状を報告した。

 提携先であるサイバーエージェントについては、「アプリの操作性やユーザーインタフェースにとことんこだわりながら、前例のない動画サービスを1年足らずで完成させた。変化の激しいインターネットの世界で生き残るための実例を見る思いだ」とした。そのうえで「サイバーエージェントの成功体験を学びながら、AbemaTVを新しい時代のテレビ局としてさらに進化させていく決意を新たにしている」と述べた。

 AbemaTV社の代表取締役社長である藤田氏(サイバーエージェント代表取締役社長)は、番組表に沿って動画コンテンツを配信するサービスモデルを採用した理由について、「自分で好きな動画を探すのは面倒だ。自分で探さなくても様々な動画を視聴できる受け身型のサービスのほうがユーザーにとって楽だし、新たな動画コンテンツと出会う機会を提供できる」と説明した。

 さらに「ユーザーが能動的に好きな動画を見ようとしていたり、何かを探していたりする時にインターネット広告を表示してもなかなか効果が上がらない。受け身でいる時に見る広告のほうが効果は圧倒的に高い」とした。AbemaTVでは、テレビCMと同様に、番組と番組の間にCMが流れる。「3月1日から開始した先行配信中に多くのCMを流したが、最初から最後まで見る率は高かった」という。

 AbemaTVを無料サービスとした点については、「インターネットユーザーは無料ということに慣れ親しんでいる」と説明した。AbemaTVがターゲットにするユーザー層については、「あまりテレビを見なくなった世代である10代や20代を主なユーザー層と考えている」とした。

 過去の番組を視聴できる「オンデマンド視聴」は有料で提供する。「基本的には広告モデルでたくさんの人に無料で見てもらいたい。ただしAbemaTVを使いこなす人が増えてくると、有料のオンデマンド視聴も期待できるビジネスモデルになりそう」と期待を示した。

 AbemaTVでは、オリジナルレギュラー生放送番組を筆頭に、音楽、スポーツ、アニメ、テレビ朝日の地上波番組との連動チャンネルなど各種ジャンルの24チャンネルを24時間視聴できる。スマホやパソコンでいつでもどこでも気軽に、テレビを見るような感覚で利用できるという。今後、「Chromecast」や「AirPlay」などへの対応も予定する。

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