米Amazon.comがインドで行っている電子商取引事業は、同国で3月に施行された新規則に抵触する恐れがあると複数の米メディア(米Re/code米Fortune)が現地時間2016年4月8日までに米New York Timesの記事を引用して伝えた。

 インドではAmazonのような電子商取引サイト上で、1つの業者(出店者)の売上高が、そのサイトの全売上高の25%を超えてはならないという新規則が施行された。あるアナリストがNew York Timesに語ったところによると、Amazonのインドサイト「Amazon.in」に出店しているある業者は、その売上高がすでにサイト全体の40%~50%に達しているという。

 この規則はインド政府が3月に発令し、即時発効したため、Amazonのような電子商取引企業には対応する時間がなかった。政府は直ちに違反企業を取り締まることはないとみる専門家もいる。また違反企業に対しどのような措置が取られるのかなど、不明な点も多いという。ただ、この新規制は今後のAmazonのインド事業にとって障壁になりそうだとRe/codeなどは伝えている。

 Amazonは2013年にインドで電子商取引サイトを始めた当時から、米国などとは異なる事業モデルを採用している。インドではAmazonのような外国資本の電子商取引企業は、自ら商品を仕入れて販売する小売り事業が許されていない(関連記事:Amazon.com、インドのeコマース事業拡大で20億ドルを追加投資)。

 そのため、インドで出店者と消費者を仲介するマーケットプレイス事業を行うとともに、同社が商品の保管と配送などを代行する事業「Fulfillment by Amazon(FBA)」を展開している(関連記事:Amazon、外部小売業者の商品販売個数が過去最高の20億個超に、中国とインドで急伸)。

 なお、このほかインドでは新たに、Amazonのような電子商取引サイトは出店者が定める価格について影響力を行使してはならない、とする規則も設けられたとNew York Timesなどは伝えている。