「iPhone」のロック解除を巡る米Appleと米連邦捜査局(FBI)の対立はまだ終わりそうにない。米司法省(DOJ)が米ニューヨーク州におけるAppleへの捜査協力要請を継続する意思を裁判所に示したと、複数の米メディアが現地時間2016年4月8日に報じた。

 ニューヨーク州では、薬物捜査で押収されたiPhoneのロック解除を捜査当局がAppleに要請したが、同州東部の連邦地方裁判所は2月、当局の主張を退ける判決を下した。これを不服としてDOJは3月7日、裁決の取消を求める手続きを行った(関連記事:iPhoneロック解除問題、米司法省がNY州地裁に裁決見直しを要求)。

 iPhoneのロック解除を巡っては、米カリフォルニア州の銃乱射事件捜査に関してAppleが裁判所命令を拒否したことで大きな議論が巻き起こったが、FBIがAppleの助けを借りずにロック解除に成功したため、カリフォルニア州での訴訟はDOJの申し出により3月28日に取り下げられた(関連記事:DOJがAppleとの訴訟を取り下げ、iPhoneロック解除に成功)。

 今回米CNETが入手した裁判所資料(文書共有サイト「Scribd」で公開)によると、DOJは、ニューヨーク州地裁が3月7日の申請を(カリフォルニア州の件のように)変更するかどうか回答を求めてきたことに対し、「(端末の)データにアクセスするための協力を引き続きAppleに要請する」と控訴手続きを維持する意向を示した。

 DOJの広報担当者によると、カリフォルニア州でiPhoneロック解除に使用された手段は、OSのバージョンが違うニューヨーク州のiPhoneには使えないという。DOJは、「データにアクセスするには依然Appleの助けが必要だ。Appleはこれまで70ほどの事例で、同様のiOS 7およびそれ以前のiPhoneについて、裁判所命令に応じてきた」と過去におけるAppleの協力を強調した(米New York Timesの報道)。

 しかしAppleの弁護団は、カリフォルニア州でのツールが使えないというDOJの理由には懐疑的だ。端末内のデータの重要性より、将来的にiPhoneロック解除が必要になった時のための前例をつくりたいためだと見ている。

 またこれとは別に、米政治ニュースサイト「The Hill」は4月7日、米上院情報特別委員会のRichard Burr議員(共和党・ノースカロライナ州選出)とDianne Feinstein議員(民主党・カリフォルニア州選出)が、企業に対して捜査当局への技術的協力を義務づける法案を提出したことを報じている。