マイナンバー制度の個人番号カード(マイナンバーカード)に関して、地方自治体(市区町村)でカードを交付する際に内蔵ICチップが使用不能になる現象が全国各地で起きている。2016年4月5日、高市早苗総務相が閣議後記者会見の席上で明らかにした。

 カードの発行システムを運営する地方公共団体情報システム機構(J-LIS)の説明によれば、現象は全国の自治体で発生している。正確な発生自治体数は把握していないが、政令指定都市など人口規模が大きい自治体で多発しているようだという。転入・転出などの手続きのために窓口を訪れる住民が増える3月以降に現象が目立ち始めた。

 現象の原因は、人口規模に応じて自治体に複数設置される「市町村統合端末」と、自治体ごとに設置する「住基ネットCS(住民基本台帳ネットワークシステム コミュニケーション・サーバー)」との間の通信が混雑したことにあると見ている。端末とCSは、転入・転出などの住民基本台帳関連の手続きと、カード交付手続きの両方で使われる。

通信失敗でカード情報不一致に

 住民が来庁しカード交付を受ける際に、自治体職員は統合端末を操作して、カードのICチップを有効化する手続きを行う。この際に、統合端末と住基ネットCS、さらにその先のJ-LISのサーバールーム内にある「カード管理システム」との間で通信を行う。

 全ての通信が正常終了すれば、統合端末側で「交付済み」となった状態がカード管理システム側にも「交付済み」として記録され、統合端末に接続されたICカード読み書き機でカードのICチップにも「交付済み=有効」と書き込まれる。