NECは2016年4月6日、4K映像のリアルタイム処理を実現するコーデックの新製品として、エンコーダ装置「VC-9700」とデコーダ装置「VD-9700」を同年7月に発売すると発表した。主に素材伝送用として使用を想定する。

 新製品は、圧縮効率の高い映像符号化方式「H.265/HEVC」を採用し、大容量となる4K映像データの符号量を約500分の1まで圧縮できる。このため、伝送するデータ帯域を大きく削減できる。また、臨場感のある高精細映像の実現に向けて、色域や輝度の幅(ダイナミックレンジ)をそれぞれ拡大する技術であるBT.2020やHDRに対応する。

 特徴としては、約99ミリ秒という低遅延時間で、圧縮・伸長処理を可能にすることを上げる。音声データも、低遅延圧縮を実現するMPEG-4 AAC ELD規格に対応する。スポーツイベントなどの生中継や、送られてくる映像を見ながら可動式カメラを遠隔制御するなど、リアルタイム性が求められるシーンでの利用に効果を発揮する。

 新製品は、1Uハーフラック(幅210mm×奥行400mm×高さ44mm)と小型化を図り、可搬性を高めた。映像や音声信号を暗号化や誤り訂正方式にも対応し、衛星やIPネットワークによる映像伝送を可能とする。

 出荷は2016年10月から開始する。価格はエンコーダ装置が600万円(税別)、デコーダ装置が500万円(同)。販売目標は今後3年間で500台。NECは、米国ラスベガスで開催される世界最大級の放送機器展示会「NAB SHOW 2016」(会期は4月16日~21日)で今回の新製品を含む放送関連技術を展示する。

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