富士通、オリックス、増田採種場の3社は2016年4月5日、ITを活用した新しい農業に取り組む新会社「スマートアグリカルチャー磐田」(静岡県磐田市)を4月1日付で設立したと発表した。各種のセンサーを使って農作物関連データを集めて分析。需要はあるが育てにくい農作物を安定的に生産するためのノウハウを確立する。
まず農業生産者として、付加価値の高い作物を生産する。苦味が少なく生食に向いたサラダ用ケールなど、需要が高いが作りにくいなどの理由から市場ではあまり作られていない農作物を、ITを使って安定的に生産する(写真1、写真2)。
農作物の種苗を販売するライセンス事業も手掛ける。育て方が難しいために流通していない種を、育成計画や育て方のノウハウとともに販売する。育てるためのノウハウさえあれば、市場で人気がある農作物であれば種が売れるという。オリックスの流通網を利用して種と農作物を市場に流通させる。
このほかハウス栽培で利用するセンサーなどのITシステムを第三者に提供するアウトソーシングサービスを実施する。農業生産者は新会社のアウトソーシングサービスを利用して、新会社と同等のシステム環境の下で農作物を育てることができる。
ケールや種苗研究など5種類のハウスを運営
事業用地は、静岡県磐田市高見丘(事業面積は約7.5ヘクタール=7万5000平方メートル)と、静岡県磐田市東原(事業面積は約1.0ヘクタール)の2カ所(図)。施設概要は、ケールハウス(約0.5ヘクタール)、トマトハウス(約1.2ヘクタール)、パプリカハウス(約1.8ヘクタール)、葉物野菜ハウス(約0.7ヘクタール)、種苗研究ハウス(約0.5ヘクタール)。
東原地区にあるケールハウスは、栽培を開始済み。高見丘地区のハウス設備は、2016年4月に着工し、2016年内の完成を予定する。施設完成後順次、栽培を開始する。
新会社の本店所在地は静岡県磐田市中泉。資本金は1億円。出資比率は富士通が51%、オリックスが39%、増田採種場が10%。代表取締役社長は富士通の須藤毅氏。従業員数(4月1日時点)は15人(出向者3人、地域雇用12人)。
主なパートナー企業(4月1日時点)は、以下の通り。農業生産者は、アグリ・ベリー、グロー、宮本農園。種苗メーカーは、アサヒ農園、ベルグアース、横浜植木。農業コンサルティング会社は、アグリコネクト、アグリコンサルティング。