携帯電話大手3社は2016年3月31日、2015年度に適用するMVNO(仮想移動体通信事業者)向けのパケット接続料を公表した。2014年度は前年度比で6割減の事業者もあったが、2015年度は低減率が軒並み2割以下にとどまり、MVNOの期待を下回る結果となった()。

図●携帯電話大手3社のパケット接続料(レイヤー2接続、10Mビット/秒当たりの月額料金)の推移。
図●携帯電話大手3社のパケット接続料(レイヤー2接続、10Mビット/秒当たりの月額料金)の推移。
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 大手3社の10Mビット/秒当たりのパケット接続料は以下の通り。NTTドコモはレイヤー2接続が前年度比16.9%減の月78万5509円、レイヤー3接続が同19.6%減の月82万3371円。KDDI(au)はレイヤー2接続が同17.0%減の月96万7983円、レイヤー3接続が同29.2%減の141万4426円である。ソフトバンクはレイヤー2接続が同13.7%減の116万6697円で、レイヤー3接続は帯域幅課金のメニューを設定していない。

 パケット接続料はMVNOがデータ通信サービスを提供するための「原価」に相当し、大手3社は設備費用をトラフィック(総帯域幅)で除算して算出している。分母に当たるトラフィックはスマートフォンの普及拡大で増加傾向にあるが、2014年度に比べて伸びが鈍化した。一部の事業者では分子に当たる設備費用も増加したため、低減率の押し下げ要因となった。

 大手3社のレイヤー2接続の接続料は、最安のNTTドコモを基準に比べると、KDDIが約1.2倍、ソフトバンクが約1.5倍。2014年度はKDDIが前年度比57.6%減、ソフトバンクが同61.5%減を提示したため、大手3社の格差が大幅に縮まったが、2015年度はNTTドコモとソフトバンクの間で再び拡大した。