NHNテコラスとエリアポータルは2016年3月29日、中野区で実施されるIoT(Internet of Things)を活用した実証実験に参加すると発表した。同実験は産官学のIT活用推進団体である情報サービス連携コンソーシアム(ICTSFC)と中野区産業振興推進機構(ICTCO)が同日から5月末にかけて実施する。交通混雑や気象のデータを集めて分析し、防災計画の策定や訪日外国人客の誘致に役立てる。

 同実験では近距離無線通信機器のビーコンや無線インターネット接続機器を中野区の各所に設置。通行人の導線や交通量の測定、監視カメラで撮影した映像の分析、気象や気温といったデータの測定などを実施する。

 NHNテコラスは収集したデータの蓄積と解析などに関するITシステムを提供する。エリアポータルは収集するデータの企画や実証実験のプロジェクト推進を担当する。センサーで測定したデータをネット経由で収集するため、IoT通信サービスを提供するベンチャーであるソラコムの「SORACOM Air」を利用する。

 実証実験の狙いは、地域の産業振興と防災計画の策定を両立させることだ。中野区は中野駅を中心にした再開発を進めており、交通整備や企業誘致にも取り組んでいる。周辺にある複合施設「中野ブロードウェイ」は、アニメや漫画といったサブカルチャー関連商品を求めて、訪日外国人の観光客が増えている。

 地元住民や就業者、観光客らが地域で効果的に回遊できるようにするために、通行人の導線や交通の混雑状況を的確に把握する必要性が高まっていた。収集したデータを災害時の避難経路や防災マップ作りにも役立てる。分析したデータの用途としては、デジタルサイネージを使って表示したり、特定地域の交通や災害情報をネット配信したりすることを想定する。