2016年3月26日、第4回データビジネス創造コンテストの最終プレゼンテーションおよび表彰式が開催された。主催は慶應義塾大学SFC研究所データビジネス創造・ラボ。第4回となる今回は、日本マイクロソフトがビジネスパートナーとして共催した(関連記事)。

 同コンテストは与えられたテーマについて、各種データを収集・分析し、それらを基にビジネスのアイデアを提案するもので、高校生や大学生・大学院生がビジネス創造力とデータ分析力を競う。第4回のテーマは「データと創造力で子育てに笑顔を」。26日の最終プレゼンテーションには60校95チームの中から選ばれた9チームが登壇(写真1)、高校生4チーム、大学生・大学院生5チームがアイデアを競った。

写真1●第4回データビジネス創造コンテストの最終プレゼンテーションに挑んだ9チームと審査員
写真1●第4回データビジネス創造コンテストの最終プレゼンテーションに挑んだ9チームと審査員
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最優秀賞は「女子高生は父親が嫌い」をデータで立証

 全9チームの最終プレゼンテーションを経て、最優秀賞に選ばれたのは、富山国際大学付属高等学校 Media Technology部のチーム「Youth × Smile」(写真2)。同高校1年生の女子7人で構成するチームで、他のチームが主に未就学児を対象とした子育て支援のアイデアを提案する中、父親と娘の関係に焦点を当て、「女子高生は父親が嫌い、苦手」ということを子育て期間や家族写真、校内の調査など様々なデータを分析することで裏付けていった。

写真2●最優秀賞に選ばれた富山国際大学付属高等学校 Media Technology部のチーム「Youth × Smile」。全員高校1年生である。中央は審査委員長の慶應義塾大学 環境情報学部 学部長の村井純教授
写真2●最優秀賞に選ばれた富山国際大学付属高等学校 Media Technology部のチーム「Youth × Smile」。全員高校1年生である。中央は審査委員長の慶應義塾大学 環境情報学部 学部長の村井純教授
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 例えば、子育てに熱心な父親を「育メン」と呼ぶが、それは主に子どもの幼少期のみが対象で、子どもが社会人として巣立つまでの全期間の約73%は母親だけが子育てに携わる「ワンオペ・ママ化」している事実を突き付ける(写真3)。そして機械学習や人工知能(AI)に取り組むマイクロソフト内のプロジェクト「Project Oxford」の成果物の一つである感情認識を活用し、各家庭での写真の撮影枚数と顔写真の感情判定(幸福度、happiness)から、子育てにおける幼少期から高校入学までの変化を考察。手法の新しさと有無を言わさぬ説得力で会場を沸かせた(写真4)。

写真3●子育て期間の73%は母親だけが子育てに携わる「ワンオペ・ママ化」
写真3●子育て期間の73%は母親だけが子育てに携わる「ワンオペ・ママ化」
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写真4●各家庭での写真の撮影枚数と顔写真の感情判定から、子育ての変化を考察
写真4●各家庭での写真の撮影枚数と顔写真の感情判定から、子育ての変化を考察
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