アビームコンサルティングは2016年3月28日、欧州SAPのERP(統合基幹業務システム)パッケージ「SAP S/4HANA Enterprise Management(S/4 HANA EM)」の導入支援サービス「グローバル製販テンプレート」の提供を始めた。

 「会計から生産管理までの一通りの機能をそろえており、製造業の海外現地法人への導入を主なターゲットにしている」とアビームコンサルティング プロセス&テクノロジービジネスユニットSCMセクター長の富田雅樹プリンシパルは話す。

 グローバル製販テンプレートは、S/4 HANA EMの会計や販売、生産管理といったモジュールの導入を簡素化するためのパラメータ設定や導入支援用の文書、アドオン(追加開発)ソフトなどをセットにしたサービス。アドオンソフトはマスターメンテナンスや帳票類など約100本を用意。アジア諸国や欧米など約20カ国の法規制対応などの機能も用意している。

 S/4 HANA EMは、欧州SAPが2015年10月に出荷した「SAP ERP」の後継となるERPパッケージ。SAP ERPと比べて、S/4 HANA EMを利用するメリットの一つは「MRP(資材所要量計画)やデータ活用などの処理が早くなること」と富田プリンシパルは説明する。「これまでMRPの実行には数日かかっていたが、S/4 HANA EMを利用すれば1日でMRPを実行できる。これにより生産計画の変更に即時に適応可能だ」(富田プリンシパル)という。

 グローバル製販テンプレートを使うと、「S/4 HANA EMを4~7カ月程度で導入できる」(富田プリンシパル)。アビームコンサルティングのSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)「ABeam Cloud」の一環として提供するほか、オンプレミス向けも提供する。

 価格の目安は1拠点50ユーザーで利用する場合、5年間で1億円弱(ABeam Cloudを利用した場合)。富田プリンシパルは「他の海外子会社向けのERPと比べても、競争力のある価格設定にしている」と話す。