米Appleは不正侵入のリスクを排除するために、独自クラウドインフラの構築に取り組んでいると、IT系ニュースサイトの「The Information」(閲覧には有料登録が必要)が現地時間2016年3月23日に報じた。

 Appleは「iCloud」を中心とするサービス向けに米Amazon.comの「Amazon Web Services(AWS)」と米MicrosoftのAzureを使用していたが、AWSから一部データを米Googleの「Google Cloud Platform(GCP)」に切り替えるようだと先週報じられた(関連記事:AppleがGoogleクラウドサービスを採用か、一部データをAWSから移行)。Appleは39億ドルをかけて米アリゾナ州、およびアイルランドとデンマークにデータセンターを構築する計画を進めており、AWS、Azure、GCPの利用と平行して、独自のクラウドインフラを構築するとみられている。

 The Informationは関係筋の情報として、Googleとの提携は、予定したほど独自クラウドインフラの開発が進まなかったためだと伝えている。

 The Informationの記事を引用している他の米メディア(9to5MacFortune)によると、Appleは少なくとも6つのクラウドインフラ構築プロジェクトを進めており、そのうちの1つ「Project McQueen」(開発コード名)では独自のデータストレージシステムを開発する。他のプロジェクトでは、サーバーやネットワーク器機、アプリケーション開発を支援するシステムの開発に取り組んでいる。

 Appleはだいぶ前から、外部に注文したサーバーが、出荷の段階で第三者にチップやファームウエアを追加されることにより、不正侵入の脆弱性をはらんでいるのではないかと懸念している。独自設計のマザーボードを採用した自社製造のサーバーであれば、未承認の不正アクセスを確実に防止できると同社は考えているという。

 しかし独自クラウドインフラの全要素が完全に揃うまで、外部クラウドサービスの利用をやめることはできない。関係者の話では、外部サービスへの依存度をゼロにするまでにまだ数年かかるとAppleは見ている。