NECは2016年3月24日、ファイル保存時に自動的に暗号化することによってファイルを介した情報漏えいを防止するセキュリティソフトの新版「InfoCage FileShell V3.0」を発表、同日出荷した。新版では、ファイルを外部に安全に持ち出すための仕組みをオプションとして用意したほか、クラウドサービスの利用によってポリシー管理サーバーをオンプレミス環境に用意しなくても済むようにした。

 Active Directoryの管理下にあるユーザーは、特に意識することなくファイルを自動的に暗号化したり、暗号化済みのファイルを自動的に復号して参照したりできる。Windows Serverのファイル権限管理機能「Active Directory Rights Management」(AD RMS)を拡張し、AD RMSが標準で扱えるOffice文書ファイルに加えてPDFや画像、テキストファイルなど任意のファイルを自動的に暗号化/復号する。

 新版では、大きく二つの機能を強化した。一つは、ファイルを社外に持ち出せるようにするオプション機能「持出閲覧形式保護オプション」()である。ファイルを社外の第三者に安全に渡して閲覧してもらえるようになる。閲覧時は、専用のビューアソフト「持出閲覧形式保護ファイルビューアー」を立ち上げ、ファイル生成時に指定したパスワードを入力する仕組み。

図●持出閲覧形式保護オプションの利用イメージ
図●持出閲覧形式保護オプションの利用イメージ
(出所:NEC)
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 持出閲覧形式保護オプションでは、すでに送信してしまって受信者に渡ったファイルを送信者側から遠隔で消去する機能も備える。仕組みとして、専用ビューアがファイルを開く際に送信者側のサーバーにアクセスし、削除対象になっているかどうかをチェックする。削除対象になっていた場合は、ビューアがファイルを削除する。

 新版で強化したもう一つの機能は、クラウド対応である。ポリシー管理サーバーとして、AD RMSのクラウド版に当たる「Azure Active Directory Rights Management」(Azure RMS)を利用できるようにした。Office365利用企業は、Azure RMSを使うことで、オンプレミス環境にAD RMSを構築しなくても済むようになった。AD RMSとAzure RMSの機能は同じだが、仕様が若干異なっており、従来版のInfoCage FileShellではAzure RMSを利用できなかったという。