犯罪捜査に関連する「iPhone」のロック解除を巡って米連邦捜査局(FBI)の協力要請を米Appleが拒否している問題で、第1回目の審問が現地時間2016年3月22日に行われるはずだったが、米司法省(DOJ)の希望により中止になった。公開された裁判所資料から分かったこととして複数の米メディアが報じている。

 米Engadgetの報道によると、DOJは3月20日に、Appleの協力を得ずにFBIがiPhoneをロック解除できる方法があると外部組織から示唆されたという。

 ただしその方法がiPhone内のデータを破壊せずにロック解除できる有効な手段かどうかテストする必要があり、もし有効であれば「All Writs Act(全令状法)」に基づいて要請しているAppleの協力は必要なくなる。

 審問は米カリフォルニア州中部の連邦地方裁判所で3月22日午後1時に始まる予定だったが、DOJは3月21日に中止を申請. 同日の遅い時間に同裁判所のSheri Pym判事が申請を認めた。DOJは代替手段のテスト状況について4月5日に裁判所に報告する。代替手段が使えない場合、おそらくAppleとFBIは日をあらためて出廷することになる。

 DOJは代替手段を提案した個人あるいは組織が誰なのか明らかにしていないが、政府関係者でないことは明言しているという。

 Appleは、昨年12月に米カリフォルニア州サンバーナディーノで起きた銃乱射事件の捜査への協力をFBIに求められ、犯人が所持していたiPhoneをロック解除するよう、今年2月に裁判所命令を受けた。Appleは要請に応じることは「危険な前例になる」としてこれを拒否。同月、裁判所命令の無効化を申し立てた(関連記事:Apple、「iPhone」ロック解除の裁判所命令に正式申立)。

 代替手段の出現は、DOJにとって複雑な思いだろうと、米New York Timesは指摘している。捜査関係者は重要なデータにアクセスできるが、暗号化強化に歯止めをかけるための議論が打ち切りになってしまう。

 Appleの弁護団は、審問の中止を法的勝利と呼ぶには時期尚早だとし、同社があらためて出廷する可能性があると述べた(米CNETの報道)。