NECは2016年3月22日、8K放送サービスの実現に向けて、8K/60p映像(概ね7680×4320画素、60フレーム/秒の映像)の圧縮・伸長処理を実現するコーデックの新製品として、エンコーダ装置「VC-8350」とデコーダ装置「VD-8350」を2016年4月に発売すると発表した。

 新製品は8K映像に加え、最大22.2チャンネル音声のリアルタイム圧縮・伸長処理が可能。「臨場感あふれる8K放送サービスの実現に貢献する」とする。また、次世代の伝送規格であるMMT(MPEG Media Transport、放送と通信の両方を活用したハイブリッドサービスの実現が容易となる仕様)にも対応する。

 総務省の「4K・8Kロードマップに関するフォローアップ会合」が2015年7月にまとめた最新ロードマップによると、2016年にBSによる4K・8K試験放送が、2018年に実用放送の開始が計画されている。新製品は、このロードマップに沿う形で8K放送サービスの実現に向けたもので、日本放送協会(NHK)の協力のもと開発した。

 新製品のエンコーダ装置は小型化も図られている。NECの既存製品である4K/60p対応H.265/HEVCエンコーダ装置と比較すると4倍相当の画素数の映像を扱うが、寸法は既存製品と同等の5U筐体(幅440mm×奥行670mm×高さ220mm)を実現しており、8K放送設備のスペースを節約できる。

 NECは、米国ラスベガスで開催される世界最大級の放送機器展示会「NAB SHOW 2016」(4月16(土)日~21日)で、展示を予定する。出荷開始日は2016年9月からで、今後5年間で100台の販売を目指す。

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