V-Lowマルチメディア放送(「i-dio」)事業全般の推進に向けてエフエム東京が中心となって設立したホールディング会社のBICとエフエム福島(ふくしまFM)は2016年3月18日、福島県喜多方市および喜多方シティエフエムと、「地域連携型防災情報の発信に関する連携協定」を同日に締結したと発表した。喜多方市が進める「地域情報を含めた防災情報の伝達手段」として「i-dio」を利用したV-ALERTの導入に向けて、その活用方法を検討していく。

 喜多方市では、防災行政無線の整備について、V-Lowマルチメディア放送を活用する方向で進めており、既に新年度一般会計の当初予算案にも事業実施のための設計業務委託費が予算計上されている。東日本大震災の被災市町村の経験を踏まえ、多くの自治体で課題となっている緊急情報メールやコミュニティFMなどと、V-Lowマルチメディア放送も含めた情報伝達を一元化するシステム構築を目指している。

 今回の協定は、3月1日からプレ放送を開始したV-Lowマルチメディア放送を活用した防災情報システム「V-ALERT」を使って、喜多方市内で起こった災害情報を的確にかつ迅速に提供できるように4者の連携を図ろうというもの。喜多方市の自治体システムから発信する防災・災害情報を、BIC、県域FM局の「ふくしまFM」、地元コミュニティFMの「FMきたかた」が連携し、4者で情報の共有化を図ることで、シームレスな情報伝達モデルの確立を目指す。

 V-ALERTは、V-Lowマルチメディア放送波を使って、防災情報を配信するシステム。同放送のいわゆるハード事業者であるVIPがプラットフォームを開発している。災害時の緊急情報や避難情報を、音声だけではなく、文字や画像でも放送波で経由で地域住民に伝えることができる。

 受信端末に対しては、放送波を使って起動信号を送ることができるた。必要なときに端末を自動的に起動させることも可能となる。「V-ALERT」では、自治体との協定にもとづき、提供された情報をそのまま放送する(いわゆる直接広報)。また、エリアコードの設定やグルーピングも可能で、土砂災害警戒区域や沿岸部、自治体職員のみ、消防団員のみなど、情報を受け取る先を細分化することも可能。

 V-ALERTは、既に福岡県宗像市が試験導入を発表済み(関連記事)。2015年9月から「V-ALERT」対応防災ラジオ(加賀電子MeoSound VL1)の配備を開始し、防災情報の配信を実施している。

 さらに、本日協定を結んだ福島県喜多方市のほか、兵庫県加古川市でも「V-ALERT」の導入を念頭に置いた検討が進められており、2016年4月に兵庫県加古川市、VIP、大阪マルチメディア放送が「V-Lowマルチメディア放送を活用した災害情報伝達に関する覚書」を取り交わす予定。このほか、全国各地の複数の自治体で前向きに検討が行われているという。

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