米Googleの親会社である米Alphabetはロボット開発事業の米Boston Dynamicsを売却する方向で検討していると米Bloombergが現地時間2016年3月17日に報じた。

 Bloombergが関係者から得た情報によると、Alphabetの幹部はBoston Dynamicsが今後数年で市場性のある製品を生み出す見込みが低いと判断し、売却の道を探っているという。買い手の候補には、トヨタ自動車のToyota Research Institute、米Amazon.comなどの名前が挙がっている。

 Boston DynamicsはGoogleが2013年に買収した事業で、米国防総省国防高等研究事業局(DARPA)などの米政府機関からの依頼によるロボット研究開発を手がけていることで知られる。もとは米マサチューセッツ工科大学(MIT)のMarc Raibert元教授の研究チームだったが、1992年にスピンオフした(関連記事:Google、四足歩行ロボット「BigDog」で知られるBoston Dynamicsを買収)。Boston Dynamicsのヒト型ロボット「Atlas」のYouTubeビデオは1000万回以上再生されている。

 GoogleによるBoston Dynamics買収は、Googleで長年Androidを統括してきたAndy Rubin氏が主導したとされているが、同氏は2014年10月にGoogleを退社した。Googleは、Boston Dynamicsをはじめとするロボット関連の買収事業から成るプロジェクト「Replicant」を進めようとしたが、責任者の交代や協業の行き詰まりなどにより停滞していた。

 あるコンサルティング会社のアナリストは、「Boston Dynamicsの幹部にとって、Googleのロボット関連チームとの協力においては、Googleの幹部と根本的に合わなかった」と見ている。また、ある業界アナリストは、「Boston Dynamicsを売却するということは、Alphabetがロボット開発事業から手を引くことを意味する」と述べている(米Computerworldの報道)。

 なおRubin氏はその後、次世代ロボットなどのハードウエア開発を支援するインキュベーターPlayground Globalを立ち上げている(米The Vergeの報道)。