米Appleが米Googleのクラウドサービスの利用を開始すると複数の米メディアが現地時間2016年3月16日に報じた。最初にこれを伝えた技術関連ニュース配信の米CRNによると、両社は昨年の終わりにクラウド事業に関する契約を結んだという。

 Appleは現在、米Amazon.comの「Amazon Web Services(AWS)」と米MicrosoftのAzureを使用しているが、iCloudを中心とするサービスの一部データをAWSから「Google Cloud Platform」に切り替える。

 Amazon.comもMicrosoftもAppleが顧客であることを明らかにしていないが、Appelが昨年公開したiOSセキュリティ白書で、iOS関連のデータ保存にAWSとAzureを利用していることを明かしている。Appleは今後も両サービスの利用を継続する。

 米Morgan Stanleyが昨年公開した調査報告書によると、AppleはAWSに年間約10億ドルを支払っている。CRNが関係者から得た情報では、AppleはGoogleとの契約で4億~6億ドルを支払うが、これが年間利用料かどうかは不明という。

 もしCRNの情報が確で、金額が年間利用料であるなら、Googleのクラウド事業にとっては重大な契約だと、米IT系メディアサイト「Re/code」は指摘している。2015年のGoogleクラウド事業の売上高は約5億ドルと、アナリストらは推計している。

 しかし、Appleは39億ドルをかけて米アリゾナ州、およびアイルランドとデンマークにデータセンターを構築する計画を進めており、Google Cloud Platformの利用は短期間で終わるとの見方もある。

 これについて米TechCrunchは、クラウドインフラをAWS、Azure、Google、自社データセンターと多様化することがAppleの目的だと見ている。あるいは、Google Cloud Platformのビッグデータ解析プラットフォーム「BigQuery」が特にAppleの関心を引いた可能性があると考えている。