LINEは2016年3月17日、ニュースメディア運営企業が利用できるニュース配信サービス「LINEアカウントメディアプラットフォーム」について、3カ月の運用を経て分かったことを示すとともに、今後の機能強化について発表した。3月22日以降、LINEのタイムライン画面やLINE NEWSのトップページにニュースを配置するなどして、読者の獲得を支援する。
LINEアカウントメディアプラットフォームとは、ニュースメディア運営企業向けのサービスで、ニュースメディアのLINEアカウントを友達として登録してくれた読者に対して、自社ニュースのダイジェストを届けることができるサービスである(関連記事:LINEがニュース新事業、メディア独自記事を配信、ブランド前面に)。ひとつの投稿は8本の記事で構成しており、これをLINEのメッセージとして配信する。現在38メディアが参加している。
今後予定している強化点は六つで、そのうち三つは読者の獲得(アカウントの友達登録)を促す機能である。
(1)3月22日に開始する「FOR YOU」機能は、LINEが運営しているニュースサイト「LINE NEWS」にトップページを新設し、ユーザー属性に合った記事をリコメンド表示する機能である(画面)。ここに、友達登録していないLINEアカウントメディアプラットフォームの記事も含めて表示することで、友達獲得の導線とする。ユーザー属性は、LINEスタンプやLINEマンガ、フォローしているアカウントなどの傾向で属性を推測する。年齢や性別だけでなく、細かく分類する。
(2)4月1日には、LINEアプリのタイムライン画面の最上部に、3本のニュースを配置する専用の枠を常設する。ここに、LINE NEWSの記事とLINEアカウントメディアプラットフォームの記事を合わせて表示する。当初は全ユーザーに同一のニュースを配信し、2016年上半期中をめどに(1)のFOR YOU機能と連動したパーソナライズ配信を開始する。
(3)4月にはさらに、友達登録しなければ全文を読めないが、友達登録しなくても冒頭部分を読める「友達限定記事」を配信できるようにする(図)。(1)のFOR YOU機能と連動させることによって、メディア特性に合った見込み読者に向けて友達限定記事を配信できる。
この他の機能強化は以下の三つ。(4)参加媒体を拡大する。3月22日に、17の地方紙を含む22メディアを追加する。(5)ニュースメディア運営企業に提供している分析ツールを強化する。独自の算出方法によって読者の満足度を測定した「ニュースエンゲージメントランク」を出す。(6)LINEとニュースメディア運営企業との間で収益を分配する仕組みを改善する。50対50をベースとしつつ、ニュースエンゲージメントランクによって調整する。
友達登録型のLINEは読者との結び付きが強い
発表会では、LINEで上級執行役員メディア担当を務める島村武志氏(写真)が、アンケート調査や3カ月の実運用から見えたLINEアカウントメディアプラットフォームの特徴を大きく二つ紹介した。アンケート調査から見えた特徴の一つは、女性読者が多いこと。全体では71%が女性で、ビジネス系ニュースでも55%が女性である。「従来では接触しにくかった属性にリーチできる」(島村氏)。
実運用から見えたもう一つの特徴は、ニュース配信プラットフォームとして見た場合に、TwitterやFacebookなどのSNSサービスと比べて読者との結び付き(エンゲージメント)が高いこと。TwitterやFacebookは、多人数に拡散されるためにニュース配信回数当たりの訪問者数が多いが、訪問者による接触回数が少なく、1回訪問したらそれで終わりとなる傾向が強い。友達登録型のLINEの場合、同じ読者が何回も訪問してくれる。「読者とのエンゲージメントが非常に高い」(島村氏)。
エンゲージメントが高ければページビュー主義から脱却できると島村氏は言う。「読者はみな、住む場所も職も関心も違うのに、最大公約数的な記事ばかりになっている。均一的なページビュー単価が原因だ。これはエンゲージメントで解決できる。エンゲージメントが高ければ課金も可能だ」(島村氏)。