PwCは2016年3月15日、FinTechに関する調査レポートを発表した。既存金融機関はビジネスシェアの23%がFinTechの進展によって脅威にさらされると答えた。FinTech企業は、金融機関が手掛けるビジネスシェアの33%を奪取できると答えたという。同社のグローバル金融サービス・フィンテック責任者であるマノージ・カシャップ氏は、「フィンテックは従来の仲介業者というパラダイムを過去のものにしようとしている」とコメントしている。

 「Blurred Lines:How Fin Tech is Shaping Financial services」と題した調査レポートを公表した。46カ国を対象に、金融機関やFinTech企業に所属するCEO(最高経営責任者)、イノベーション部門責任者、CIO(最高情報責任者)など544人から回答を得た。回答者の内訳は、金融機関が約80%、FinTech企業が約20%である。

 PwCによると金融機関は、FinTechが発展すると既存ビジネスシェアの23%が脅威にさらされると考えているという。特にカード会社などの決済事業者は今後5年間で、市場シェアの最大28%をFinTech企業に奪われる可能性があると見ており、銀行(同24%)などに比べて高い危機感を持っていた。

 脚光を浴びているブロックチェーン技術に関しては、方針を決めかねている企業の様子が浮かび上がった。全体の56%が「重要性を認識している」と答えたが、「対応すべきか分からない」、「恐らく対応することはない」との回答が57%を占めた。

 世界的には金融機関とFinTech企業との協業が進んでいるが、両者の課題認識にもズレがあるようだ。金融機関は、FinTech企業に関与する際の課題として、「ITのセキュリティ」(53%)、「規制に関する不確かさ」(49%)、「ビジネスモデルの違い」(40%)を挙げているのに対し、FinTech企業は「経営と企業文化の違い」(54%)、「業務プロセス」(47%)、「規制に関する不確かさ」(43%)を課題とした。

 PwCは同レポートで、今後3~5年でFinTechへの投資総額は1500億米ドルを超えるという見通しを示している。