デルは2016年3月14日、シンクライアント専用OSの新版「Wyse ThinOS 8.2」を発表した。新版では、米シトリックス・システムズの仮想デスクトップ環境(XenDesktop/XenApp)に向けて、音声/映像を活用したコミュニケーションソフトであるSkype for BusinessとMicrosoft Lyncへの対応を強化した。

 Wyse ThinOSの特徴は、シンクライアント専用OSであるため、Windowsなどの汎用OSと比べて起動時間が短いことである(関連記事:6~8秒で起動するノート型シンクライアント、ワイズテクノロジーが発売)。同社のシンクライアント端末の場合、Windows Embeded搭載機がOSの起動に1分近くかかるのに対して、Wyse ThinOS搭載機は6~8秒程度で起動するとしている。

 今回のWyse ThinOSのバージョンアップでは、米シトリックス・システムズが提供している機能強化モジュールで、Skype for BusinessとLyncの処理をシンクライアント端末側で実行する「Citrix HDX RealTime Optimization Pack 1.8」を搭載した。仮想デスクトップ側にインストールするモジュールと組み合わせて利用する。

 本来であれば仮想デスクトップ上で実行する処理を、シンクライアント端末にオフロードできる。これにより、仮想デスクトップの負荷を軽減するとともに、映像などをシンクライアント端末側のエンジンで高速に描画できるようになる。対応アプリケーションは、Skype for Business server 2015、Microsoft Lync 2010/2013サーバー、Microsoft Lync 2010/2013クライアント。

 今回さらに、VDI(デスクトップ仮想化環境)の構築に必要なミドルウエア一式をPCサーバーにインストールしたアプライアンス機器(関連記事:デル、仮想デスクトップ「Wyse vWorkspace」を国内で初めて販売)の一つで、米シトリックス・システムズのVDIソフトを搭載したモデル「Dell Appliance for Wyse - Citrix」についてもバージョンアップした。新たに、中小規模の組織でも簡単に導入できるように、ウィザード型の導入ツール「クイックスタート・ツール」を追加した。1台のアプライアンス当たり2時間で導入できるとしている。