データセンターで使用するハードウエアの仕様や設計図をオープンソースとして開発する米Open Compute Project(OCP)に2016年3月9日(米国時間)、米Googleが参加した(写真1)。OCPが同日に開催した年次会合「OCP U.S. Summit 2016」で発表した。

写真1●米Googleでテクノロジーインフラストラクチャー担当シニア・バイス・プレジデントを務めるUrs Holzle氏
写真1●米Googleでテクノロジーインフラストラクチャー担当シニア・バイス・プレジデントを務めるUrs Holzle氏
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 OCPは巨大データセンターを効率的に構築・運営するために必要なサーバーやストレージ、ネットワーク機器、ラック、空冷装置などの仕様や設計図を共同開発し、誰でも利用できるようオープンソースとして公開している。元々は米Facebookが始めたプロジェクトだが、現在は米Microsoftや米Appleといった巨大なクラウド企業や、米AT&Tや米Verizon、独Deutsche Telekomといった通信事業者なども参加(写真2)。例えばMicrosoftは「Microsoft Azure」などのクラウドサービスのデータセンターでOCP仕様のハードを使用していることを公表している。

写真2●OCPの主要メンバー
写真2●OCPの主要メンバー
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 そのOCPにネット企業の中でもいち早くデータセンター用ハードウエアの自作を始めたGoogleが参加することで、「巨大なネット企業やクラウド事業者、通信事業者といった巨大データセンターの運営主体が、自らが使用するハードを共同開発する場」としてのOCPの重要性がますます高まったと言えそうだ。

 Googleは同時に、同社が開発した「48Vラック」などの仕様をOCPの規格にする方針であることも発表している。Googleが公開した48Vラックは、サーバーなどの電源装置やUPS(無停電電源装置)をラック単位で集約したもので、通常のラックやサーバーなどを使うのに比べて消費電力効率が改善することをうたう。商用電源をラック単位の電源装置で直流の48Vに変換してサーバーのマザーボードに供給することから48Vラックと呼ぶ(写真3)。

写真3●Googleが開発した「48Vラック」
写真3●Googleが開発した「48Vラック」
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