LPI-Japanは3月9日、企業システムにHTML5をはじめとするWeb技術の活用を促す活動の一環として、「HTML5ビジネスサミット2016―新たなビジネスを切り開くHTML5―」と題するセミナーイベントを開催した。

写真1●LPI-Japanの成井弦氏
写真1●LPI-Japanの成井弦氏
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 最初の講演者であるLPI-Japanの成井弦氏(理事長、写真1)は、動画サイトやテレビ、3次元CAD、医療システムなどさまざまな分野でHTML5が利用されている現状を分析。そうなった背景には、米Appleを時価総額で世界最大の企業に育てたSteve Jobs氏の偉業があるという。「Jobsは世の中に先駆けてHTML5に注目し、積極採用した。そして『ITと映像』『ITと音楽』というように、左脳と右脳が融合したところに強みを持つ人材を集めたことで、圧倒的な価値が生まれた」(同氏)。

 同氏は、企業システムも「IT+クリエイティブ」によって差別化され、優位性が高まると主張する。しかし、「大半の企業がサーバー側のみを重視してきたことから、処理結果をHTML5で効果的に見せるといったクリエイティブな能力にたけた、クライアント側に強いエンジニアが極端に少ない」と指摘。だから、「ITエンジニアにとって、クリエイティブ性を身に付けることが大きなチャンスにつながる」と述べた。

写真2●SAPジャパンの鈴木正敏氏
写真2●SAPジャパンの鈴木正敏氏
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 2人目の講演者であるSAPジャパンの鈴木正敏氏(バイスプレジデント プラットフォーム事業本部長、写真2)は、デジタルエコノミーに求められる3要素について解説した。一つは「コネクテッド」で、例えばウエアラブル端末やスマホアプリなどによって、メーカーが卸や量販店といった流通を中抜きにして顧客と直接つながれるとする。二つ目は「データドリブン」で、コネクテッドから得た実際の生データを分析することで、ビジネスの拡大に役立てられるという。三つ目は、エクスペリエンス(UX)で、これが左脳と右脳の発想が組み合わさったビジネス変革で大きな役目を果たすとする。独SAPはERPシステムのS4/HANAで、HTML5ベースのUI(ユーザーインタフェース)/UXとして「SAP Fiori」を採用しており、これを今後、他のシステムにも広げていくと述べた。