ソフトバンクロボティクスと米マイクロソフトは2016年3月8日、クラウドとロボットが連携する「クラウドロボティクス」分野で協業すると発表した(写真1)。ソフトバンクロボティクスのヒト型ロボット「Pepper」と、マイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」を接続し、小売店向けのソリューション「未来の商品棚(仮称)」を構築する。Pepperが小売店の接客業務で収集したデータをAzure上で分析し、利用客一人ひとりの購買行動に合わせて接客させる。2016年秋をめどに国内で提供開始する。海外での提供開始時期は未定。

写真1●日本マイクロソフトの平野拓也代表執行役社長(右)とソフトバンクロボティクスの冨澤文秀代表取締役社長
写真1●日本マイクロソフトの平野拓也代表執行役社長(右)とソフトバンクロボティクスの冨澤文秀代表取締役社長
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 未来の商品棚(仮称)でのPepperによる接客シーンは次の通り。利用客がPepperに対面すると、Pepperは搭載するカメラで利用客の顔を撮影し、年齢や性別などを判断。利用客の属性に応じてお薦めの商品を提案する。商品の詳細なデータはPepperが音声で説明するだけでなく、Azureに接続した大画面PC「Surface Hub」などに表示する(写真2、3)。

写真2●同日開かれた会見では日本マイクロソフトの平野社長がPepperに接客方法を体験するデモも披露した
写真2●同日開かれた会見では日本マイクロソフトの平野社長がPepperに接客方法を体験するデモも披露した
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写真3●音声による接客だけでなく大画面PCで商品を案内
写真3●音声による接客だけでなく大画面PCで商品を案内
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 利用客の購買履歴や、小売店のPOS(販売時点情報管理)データはAzure上のデータベース(DB)に収集。利用客の属性と組み合わせて分析する。分析に使うのは、マイクロソフトのIoT向けソリューション「Azure IoT Suite」。DBに加え、分析用のBIツール、Azure Machine Learningなどで構成する。「機械学習を使って分析し、利用客一人ひとりの好みに合わせて接客する」(日本マイクロソフトの平野拓也代表執行役社長)。

 提供価格や提供方法の詳細については明かさなかったが、小売店向けにPepperを貸出し、月額料金などを設定する。

 両社はまず、小売店向けソリューションの構築を進めるが、その他の業種にも参入する考えだ。会見に臨んだソフトバンクロボティクスの冨澤文秀代表取締役社長は「介護施設や住宅展示場など、Pepperを活用できるシーンは多い」と話した。インバウンド(訪日外国人)対応なども見据える。「マイクロソフトの多言語対応技術をクラウドから提供する」(日本マイクロソフトの平野社長)。