NTTデータが米デルのITサービス部門を4000億円超で買収する最終調整に入ったことが分かった。日本経済新聞が2016年3月8日朝刊で報じた。NTTデータ広報は報道内容について「コメントを控える」とした。

 日経新聞によればNTTデータの岩本敏男社長が渡米し、週内にデル首脳に買収を正式提案する。デルのITサービス部門の中核は米ペロー・システムズで売上高は30億ドル(約3400億円)程度という。公共系や医療系に強みを持つ同社は実業家のロス・ペロー氏が設立し、2009年にデルが39億ドルで買収した。

 NTTデータは優先的な交渉権を得る見込みだという。米ロイターが2015年12月24日や2016年2月12日に報じた内容によれば、買収の交渉権はNTTデータや仏アトス、インドでサービスを提供する米コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ、インドのタタ・コンサルタンシー・サービシズら大手ITサービス事業者が競っている。米デルは50億ドル超での売却を希望しているといい、2016年1月にはアトスが42億~43億円で買収するとの報道もあった。

 NTTデータは山下徹前社長時代の2008年から海外M&A(買収・合併)を加速。2010年には米ITサービス企業のキーンを約1100億円で買収した。2012年に岩本社長に交代してからは買収件数のペースは落ちたものの、2013年にスペインのITサービス企業のエヴェリスを約500億円で買収し、2015年にITコンサルティング企業の米カーライル・アンド・ガラガー・コンサルティンググループを約270億円で買収した。

 こうした海外M&A買収により、2004年3月期は30億円規模だった海外売上高は2016年3月期には150倍以上の4610億円まで膨らむ見通し。同期の海外売上高比率は30%を見込む。今回のペロー・システムズ買収が実現すればNTTデータとしては過去最大規模の買収となる。

 デルのITサービス部門の売上高は30億ドル(約3400億円)程度といい、買収後のNTTデータの海外売上高は8000億円規模まで増える。NTTデータは内部で2020年に海外売上高1兆円という目標を持っている。

 一方、NTTグループ全体では2017年3月期に海外売上高200億ドル、海外売上高比率50%を目指している。2015年3月期には150億ドル、44%まで達成した。NTT持ち株会社は2010年に南アフリカの情報システム会社ディメンション・データを約2860億円で買収している。日経新聞によれば、NTTデータの買収をNTT持ち株会社が資金面で支援するという。

 デルは2015年10月に米EMCを約670億ドルで買収することを公表済み。2016年10月までに買収完了する予定だ。ITサービス部門は中核事業ではないとして売却するようだ。