米連邦通信委員会(FCC)は現地時間2016年3月7日、米Verizon Wirelessが固有識別子ヘッダー(UIDH)を用いてユーザーのオンライン行動を追跡していた問題で、同社が和解合意したと発表した。Verizonは和解金135万ドルを支払う。

 Verizonは、「supercookie(スーパークッキー)」と呼ばれる削除不可能なUIDHを、モバイルユーザーに知らせることなくWebトラフィックに挿入し、ユーザーのオンライン行動に関するデータを収集して自社およびサードパーティーによるターゲット型広告配信に役立てていた。

 FCCは、Verizonがsupercookieを使用することによって、顧客の個人情報保護や顧客への適切な情報提供を怠り、FCCの規則「Open Internet Transparency Rule」などに違反している疑いがあるとして2014年12月に調査を開始した。Verizonは2012年12月からsupercookieを使用し、2014年10月までそれを公表していなかった。

 FCCとの合意のもと、Verizonはターゲット型広告プログラムについてユーザーに通知し、他社とsupercookieを共有する前にユーザーの承認を得なければならない。また、社内でsupercookieを共有する際にはユーザーからオプトインまたはオプトアウトの同意を得る必要がある。

 FCCのTravis LeBlanc執行局長は、「プライバシーと革新は両立できないことではない。今回の合意は、企業が意義ある透明性と消費者への選択肢を提供すると同時に、革新を継続できることを示している」と述べた。

 米メディアの報道(New York Times)によると、VerizonはFCCの調査開始後、ユーザーに対してsupercookie使用に関する情報を開示し、ユーザーがデータ収集をオプトアウトできる機能を導入するなど、広告プログラムに複数の変更を加えた。FCCとの合意は「FCCがこれを認めた結果だ」と、Verizonの広報担当者は述べたという。

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