写真●日本ティブコソフトウェア、カントリーマネージャの黒塚明彦氏
写真●日本ティブコソフトウェア、カントリーマネージャの黒塚明彦氏
(撮影:古立 康三)
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 「ビッグデータに変わる言葉がFAST DATA(ファーストデータ)。ビッグデータをリアルタイムに扱うことによって、即時に知見を得てアクションにつなげることを指す」――。日本ティブコソフトウェアでカントリーマネージャを務める黒塚明彦氏(写真)は2016年3月4日、ITセミナー「データサイエンティスト・ジャパン2016」で講演した。現場の業務担当者がアドホックにデータを分析できるオペレーショナルBI(ビジネスインテリジェンス)ソフト「TIBCO Spotfire」(関連記事)について、事例を交えて紹介した。

 ビッグデータをリアルタイムに活用するためのステップとして黒塚氏は、データ分析の進化の段階を成熟度カーブで表現した。成熟度が低い段階から順に、(1)データの可視化、(2)原因の究明、(3)数理モデルを作成し将来を予測、(4)定型業務化、(5)自動化、と進化する。

 黒塚氏は、各段階における事例をいくつか紹介した。主に可視化に重きを置いた事例が、カタログ/ネット販売大手の千趣会である。2014年にTIBCO Spotfireを導入し、全社ポータルで昨日のデータを全社で共有している。ここでは、各製品の年代別の受注状況などが分かる。「見える化・見せる化・見たい化」というコンセプトの下で、見たいと思えるデータを見せることに注力しているという。

 数理モデル化した事例の一つが東芝である。生産の歩留まり状況を改善するために、2005年に半導体部門でTIBCO Spotfireを大規模導入した。TIBCO Spotfireの導入前には、分析のパラメーターやデータ量が膨大であるため、データの準備や分析に多くの時間を費やしていたという。TIBCO Spotfireを導入したことで、データの準備と分析にかかる時間が168時間から1時間へと短縮された。さらに、現場と経営トップが同じデータをもとにファクトベースで意思決定できるようになった。

 定型業務化と自動化まで実現した事例の一つが、米ゼネラル・エレクトリック(GE)の航空機部門である米GE・アビエーションの事例である。飛行中の航空機からセンサーデータを収集して保守業務の効率化に役立てている。必要なメンテナンスの手配や作業指示を着陸前に完了しておくことができるので、航空機の稼働率が上がる。さらに、気象データを分析して飛行パターンを最適化し、燃費を改善する。