写真●Tableau Japan、Technology Evangelist、Sales Consultantの並木正之氏
写真●Tableau Japan、Technology Evangelist、Sales Consultantの並木正之氏
(撮影:古立 康三)
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 「進化した道具は、人の能力を増幅する」---。Tableau Japanでテクノロジーエバンジェリストとセールスコンサルタントを務める並木正之氏(写真)は2016年3月4日、ITセミナー「データサイエンティスト・ジャパン2016」で講演した。現場の社員がセルフサービス型でデータを分析できるBI(ビジネス・インテリジェンス)ソフト「Tableau」について紹介した。

 並木氏は、人が情報を活用するための道具(BIツール)の進化の方向性として、ビッグデータ、データディスカバリー、データサイエンスの三つを挙げる。大量のデータを扱うことができて、データが含んでいる意味を発見できること。これを全ての人に簡単に提供できるのが新しいBIツールである。

 進化したBIツールの代表として並木氏は、同社のTableauを紹介した。Tableauが特に力を入れて研究開発している要素が、データを可視化する能力と、使い勝手の良さであるという。

 データの可視化はデータを理解するのに有効。並木氏は、グラフで表現することでデータが分かりやすくなる例として、歴史的に有名な二つのグラフを紹介した。ナポレオンの行軍状況を気象データなどとともにチャートで表したもの(Charles Minard氏が1869年に作成)と、コレラの感染状況と原因となった水源を地図上にマッピングしたもの(John Snow氏が1854年に作成)である。

 使い勝手については、思考のままにツールを操作して、データに適したグラフを自動的に選んで表現してくれることが大切。さらに、各種のデータベース管理システムや、クラウド型のDWH(データウエアハウス)であるAmazon Redshiftなど、様々なデータソースにアクセスできることも重要である。

 並木氏は、実際にTableauを使ってデータを探索するプロセスをデモンストレーションした。ケプラー宇宙望遠鏡が捉えた星のデータ7348個を分析し、星の大きさや温度などで分類、生命がいるかもしれない候補を9個に絞ってみせた。9個のうちの8個は、NASAが発表済みの候補と一致する。

 講演の後半では、Tableauを開発した背景を説明した。米タブロー・ソフトウエアの共同創業者で米スタンフォード大学の教授でもあるパット・ハンラハン氏は、元々は米ピクサー・アニメーション・スタジオの設立メンバー。CG(コンピュータグラフィックス)ソフトの一種である「RenderMan Interface」を開発したという。

 こうした「人の能力を増幅する道具」の一つとして2003年、人が情報を活用するためのツールであるTableauを出荷した。並木氏は、道具が人の能力を高めることを説明している例として、スティーブ・ジョブズの映像「Computers are like a Bicycle for Our Minds」(コンピュータは自転車)を見せた。この映像の中でジョブズは、人間に自転車を与えると、コンドルよりも少ないエネルギーで移動できるようになると語っている。